あって当たり前だと思っていた家のもの。じつはあることで使いづらさを感じることも…。そんな素直な気持ちと寄り添い、さまざまなことをやめてきたというブロガーで収納アドバイザーの原田さよさん。原田さんの最新刊『50代はやめどき、捨てどき、楽しみどき』(扶桑社刊)より、そんなエピソードを抜粋で紹介します。
すべての画像を見る(全3枚)50代、当たり前をやめてよかったこと
「当たり前」にしていたことが、じつは手間を増やしていたということがありませんか? 50代になって私がやめたのは、お風呂やシンクの排水口にフタをすることと、家のあちこちにマット類を敷くことでした。
●お風呂の排水口のフタをやめた理由
もともとが面倒くさがりな性分です。お風呂の排水口にフタがあると、中が見えないのをいいことに「まだ掃除はいいや」となりがちです。でも、フタを外したら、ゴミや髪の毛が網にひっかかっているのが見えて気になり、その都度掃除するようになりました。汚れがたまらないのは気持ちがいいものです。
同様に、キッチンシンクの排水口のフタも外しました。いずれも、なくても困らないし、ないほうが掃除がしやすいのです。
そのときにふと気づきました。当たり前にあるものでも、使わないといけないわけじゃない。変えても大丈夫そうなことが、まだあるかもしれない――ほかにも探してみることにしました。
●マット類もなくしてラクになった
次に、マット類を敷くのをやめようと思いました。家じゅうにあるマットを撤去するのです。まずはキッチンマット。掃除機もかけにくいし、足にひっかかってつまずくこともありました。そこでマットを外して、汚れたところだけをその都度サッとふくように。こうしたら、ほどほどにきれいな床を保てるようになりました。
さらに玄関マットも外してみましたが、なくてもまったく困りません。そしてトイレマットも撤去。これで洗濯の手間がなくなりそうです。そしてなにより、見た目がすっきりしてよいと思っていました。
ところが、トイレマットを外してしばらくたったころ、新型コロナ流行拡大の影響で夫がリモートワークになりました。ここで、夫が1日仕事をする2階のトイレに、ちょっとだけ問題が。トイレは、女性だけが使うなら尿が飛び散ることもなく、マットがないほうがラクに掃除ができます。でも、男性が使う場合はそうはいきません。夫が2階のトイレを使う頻度が激増したうえに、トイレの床は長年使っているせいか水気が染み込みやすくなっているクッションフロア。それなら、マットを敷いて洗うほうがラク。
というわけで、夫が使う2階のトイレのマットだけは復活させました。マメなふき掃除より、洗濯機に小さなマットを洗ってもらうほうを選んだわけです。これで、まあまあラクで、まあまあ気持ちいい状態を保てるようになりました。
いるいらないは、やってみないとわからないこともあります。年齢を重ねていけば、そういう選択をしないといけない場面がほかにも出てくるでしょう。小さなことですが、マットをやめたり復活させたりすることは、いい勉強になりました。