日本では6割の夫婦が陥ると言われるセックスレス。「そろそろ妊活を始めたい年齢ですが、夫と話し合うことすらできずにいます」と話す杏さん(仮名・35歳)を取材。全国転勤、単身赴任、フルタイムで働く妻が、義理の実家で親族たちから言われたショッキングな言葉とは? 夫との溝ができてレスになってしまったというお話を伺いました。

◆前回のシリーズはこちら!

50代の夫婦生活。「閉経した私はもう女じゃない?」:セックスレス・良子さんの場合2
親族
夫の親族から責められたことをきっかけにセックスレスに…※写真はイメージです(以下同様)
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「仕事を辞めたら?」という夫の親族に泣かされて…

私が夫と結婚したのは30歳のときです。2歳上の夫は大学の先輩。仲間のすすめもあり、まわりにくっつけられる形で交際がスタートしました。

●私たち夫婦が「週末婚」になった理由

私は在学中に司法試験に合格し、その後、裁判官の道に進みました。もともと裁判官というとポーカーフェイスで冷たいイメージをもっていたのですが、ロースクールの講義で出会った裁判官の方々はとても人間味あふれる人たちでした。

とくに、とある裁判官の「刑事事件は人の命がかかっているからミスができない。とても重い」と話していたときの顔が印象に残っています。世の中の紛争ごとを中立公正な立場で解決していくために尽力している姿を見て、私の性格に合っているのではないかと思ってからひたすら努力し、夢を叶えました。

大体3~5年くらいのサイクルで全国転勤があります。会社員の夫と結婚してからも、私は地方で単身赴任生活。週末婚のような状態でしたが、夫は私の仕事への情熱をだれよりも理解してくれていました。

●全国転勤、単身赴任、フルタイム勤務…。親族たちの冷たい眼差し

夫はほんわかした癒し系。離れていても私の心をいつも和ませてくれる存在でした。

親族

結婚して4年目に差しかかろうかというある日、お盆休みで夫婦そろって義理の実家へ帰省したときのことです。久しぶりに再会した親族たちから厳しい視線が向けられました。

「杏さん、いつまで仕事を続けるつもりなの?」と言い出したのは夫の祖母。親戚一同が集まるお盆の食事の席で、明らかに冗談ではない雰囲気を感じました。

●ハチャメチャな祖父に苦労させられた義祖母

じつは夫の祖母は、ギャンブル好きな夫(夫の祖父)に長年苦労をかけられ、ずーっと働きづめだったそう。お見合いで一、二回しか会ったことがないまま結婚したものの、家のお金をギャンブルで溶かされてしまうことの連続。

挙句、義祖父は自分の体も壊して働くこともできなくなってしまい、義祖母は「なにがなんでも自分で稼がなきゃならない状況だったから必死だった」。世代は違えども、働く女性の気持ちを理解してくれている人だと、私は勝手に思っていました。

それなのに突然、「女性が単身赴任。しかもフルタイムで働き続けたら、いつになっても子どもができないじゃない」などと言い始めたのです。

●自宅で幼児教室を開いている義母も…

そして義母も、「今の生活じゃ、なかなか夫婦生活も難しいでしょう。そろそろ孫の顔が…」と出かかったところで、私の表情が曇っていることに気がつき、言葉を濁しました。

義母はもともと子どもがすごく好きで、自宅で幼児教室を開講しているほど。「仕事というより、趣味のお小遣い稼ぎみたいなものよ」と言ってはいたけれど、家事と仕事をしっかり両立させている姿勢を、私はとても尊敬していました。

ちょいちょいメールのやりとりもしていて、腹を割って話せていると思っていたのに。内心では私の働き方に不満を持っていたことを知り、ショックでした。

裁判官

そもそもなんですが、私の裁判官という職業や単身赴任の結婚生活については、向こうの親族にも夫が説明して納得してくれているものだと思っていたのです。けれど現実は全然違っていんだと、このとき初めて気がつきました。