新生活の始まる4月。子どもの入園・入学を機にお弁当づくりを始めるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。とはいえ、仕込みなど考えると少しおっくうになる部分もありますよね…。では、海外のお弁当はどうなっているのでしょうか? ここでは、アメリカ・シアトルに住んで20年、子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、「アメリカのお弁当事情」について教えてもらいました。

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地域で異なりますが、私の住むシアトルの公立校では、給食を買うか、弁当を持参するかは選択制。小学校の給食は1食3.25ドル(約430円)で、料金は前払いしてあるお金から引かれます。現金を持っていくと新たにチャージすることもできます。
日替わりのピザやベーグル、パスタなど2、3種類から選べ、牛乳やフルーツつき。ちなみに低所得家庭の子どもは給食が無料で、コロナ禍の2年間は全家庭の子どもが無料となっていました。

●アメリカの小学生の“理想のお弁当”

日本のお弁当
子どものお弁当といえば、写真のようなものを想像される方も多いのでは?

給食、お弁当、どちらにしても日本の学校のように教室では食べず、カフェテリアに移動して好きな席に座り、それぞれ友だちと一緒にランチを取ります。日本の大学の学食や社員食堂のスタイルと同じですね。給食は専属スタッフが用意したものを受け取るだけなので、給食当番もありません。

日本の学校とは、かなり違うなぁと感じるのが、そのランチ時間の短さです。教室、カフェテリア間の移動もあり、食べてすぐに昼休みの外遊びが始まるため、実質15分くらいしかありません。しかも、小学低学年まではスナックタイムと呼ばれるおやつの時間(これは持参したおやつを教室で食べる)が午前中にあり、子どもがそんなにすぐおなかがすくはずもなく…。

そう、子どもは食べたいものだけ先に食べ、苦手なものをあと回しにすることで「時間がなくて食べられなかった」と残してしまう大問題が発生! 給食もお弁当も、残ったらゴミ箱に捨てられてしまうので、親はその事実を知るよしもありません。

というわけで、手の込んだおかずをいろいろつめた「愛情弁当」は、そもそも全部味わって、ゆっくり食べている時間がないのです。手づかみ上等、シンプルイズベスト。これが食品ロスもない、親の手間暇も無駄にならない、アメリカの小学生に求められている理想のお弁当と言えます。

●家にあるものをつめるだけ!

サンドイッチ

それでは、アメリカではお弁当になにを持って行けばいいのでしょうか? 園児から小学生、さらに中高生、そして大人も、基本はサンドイッチでOKのようです。アメリカでのサンドイッチは、日本のおにぎり的存在と言えるかもしれません。たしかにおにぎり同様、具材はなんでも、その日に家にあるものを入れられますしね。

昔からの定番は、「PB&J」と呼ばれるピーナツバターとジェリー(ゼリータイプのジャム)を塗ったサンドイッチ。日本のジャムバターサンド的なものですね。ただ、最近は子どものアレルギー対策からナッツ禁止の小学校が増えており、甘いものはよろしくないという昨今の健康志向もあって、その姿を消しつつあります。

ベントーボックス

その代わりにアメリカで主流となりつつあるのが、仕切りのついたボックスにいろいろつめるランチ、その名も「ベントー・ボックス」! とくに園児や小学低学年の子どものランチに人気です。

日本の弁当箱との違いは、仕切りがしっかりしていて、それぞれのスペースにつき1種類を入れること。パンやベーグル、ワッフル、マフィンなどに加え、フルーツ、野菜、クッキー、クラッカー、チーズ、ハムなど、家にあるものを適当にカットしてつめたら完成です。調理らしい調理はほとんどしません(笑)。これに冷凍品のチキンナゲットか、朝食で余ったソーセージや卵が入れば、かなり豪華に! ただ、スペースが3つくらいならいいですが、6つも7つも分かれている商品がわりと売っていて、そうなるとかえってつめるものがなくなる心配も出てきそうです。