常識のアップデートが求められる時代。たとえば、自分とは異なる他者への想像力を高めるにはどうすればよいでしょうか。
ここでは、明治大学教授で教育学者の齋藤孝先生が、想像力を高めるために毎日していることを、新刊『もっと想像力を使いなさい』(扶桑社刊)より、一部抜粋してご紹介します。
「自分と異なる立場の人を知る」には。教育学者・齋藤孝先生が毎日続けていること
すべての画像を見る(全2枚)「自分と異なる立場の人を知る」には、映画を観たり、小説を読んだりすることもオススメです。
私は映画を1日1本観るようにしています。毎日違う人の人生を生きるような体験ができるからです。
●LGBT当事者の気持ちを映画や小説で知る
たとえば、同性愛者が登場する作品を観れば、同性愛者はこのようなことを考えているのか、こういう気持ちを持っているのか、ということをある程度知ることができます。
LGBTに関する映画ですと、たとえば共産主義者の男子学生と自由主義者のゲイ男性との友情を、キューバの社会情勢を背景に描いた『苺とチョコレート』(1993年)や、アメリカ中西部を舞台にカウボーイ同士の恋愛を描いた『ブロークバック・マウンテン』(2005年)、身体的には女性で性自認が男性のトランスジェンダーの主人公の身に起こった事件を描いた『ボーイズ・ドント・クライ』(1999年)、マイアミの貧困地域の少年が同性を好きになる『ムーンライト』(2016年)などがありますが、いずれもアカデミー賞ほか数々の映画賞を受賞した傑作です。
そういう映画を観ていると、1本観るごとに自分の感覚が変容していくのが分かります。自分が経験していない世界を経験させてくれるのが映画のよさです。