戸建住宅の収納率は(家の床面積に対する収納スペースの割合)は、10〜15%がひとつの目安と言われています。平屋の注文住宅を建てた日刊住まいライターは、間取りを決める際に、可能な限り廊下を減らし、廊下となる部分にはウォークスルーの収納機能をもたせることに。おかげで床面積にロスがなく、15%の収納率を達成。暮らしやすい家を手に入れました。

LDKにあるウォークスルークローゼット
LDKにあるウォークスルークローゼット。ランドリールームともつながっている
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収納率を考慮しながら家づくりをした理由

筆者は夫婦ふたり暮らし。1年ほど前に、ハウスメーカーで建築面積32坪(105㎡)の平屋の注文住宅を建てました。ちなみに、この家の収納率は約15%となっています。

夫婦はともに、服や家電が大好き。そんなこともあって、この家づくりでは十分な収納スペースが必要でした。そこでこだわったのが、収納率です。

収納スペースは、少ないと不便です。しかし一方、身の丈を超えて確保すれば居住スペースが狭くなるし、ものも増えがちになります。そのため筆者は、客観的に認知されている数字を基準にすることにしたのです(もっとも、この10〜15%という数値。一応最適とされているようですが、実際には家族構成やライフスタイルによっても、正解とは言えないこともあるようです)。

筆者の家づくりのケースでは、理想的な収納率にするために、間取りにさまざまな工夫が必要でした。以下に詳しく説明していきます。「ものが多い」「収納がたくさん欲しい」という方は、ぜひ家づくりの参考に。

 

廊下が少なく、かつ、廊下は収納兼ねる間取りに

収納を16%取った間取り図

理想的な収納率を、ほぼ実現できたいちばんの理由。それは、わが家は、廊下がほとんどない間取りだから。廊下の役割しかないペースはもったいないと感じ、間取り決めの際に、余すところなく部屋や収納にしました。

また、わが家の建物が直方体で、きれいな長方形をベースとした間取りであったのも幸いでした。デッドスペースが生まれにくく、床面積を効率的に使いきることが可能に。

というわけで、「必要な部屋を決めて先に配置していき、廊下になってしまいそうなところは収納にできないか検討する」という流れで間取りを決めました。では次に、実際にどんな収納スペースにしたのか、紹介していきましょう。

 

生活導線を意識した約5畳のウォークスルークローゼット

衣類を収納したウォークスルークローゼット

わが家は、4.87畳(約8㎡)のクローゼットを採用しています。建築面積は約32坪(105㎡)の家としてはわりと広めです。

このクローゼットはウォークスルータイプを採用していて、脱衣所兼ランドリールームから、また、LDKからアクセスできます。間取りのイメージとしては、LDKにつながる通路に服を収納するといった感じ。実際に、収納としても通路としてもムダなく空間を使えています。

 

絶妙な位置にあるウォークスルークローゼット

位置関係も絶妙によくて、ランドリールームで洗濯&乾燥し終わった衣類を、スムーズに収納できます。そのうえ、朝の動線も便利。ダイニングで朝食を終えたあとは、すぐに服を選べて、気に入っています。

 

ウォークスルークローゼットの内部

クローゼット内の一方の壁には、ハンガーパイプを上下に2段設置(写真右)。もう一方の壁には、1段だけ設置(写真左)しました。後者は、ワンピースやコートなど長い衣類用としています。こうすることで、収納量を増やしつつ、使い勝手もアップ。

 

ウォークスルークローゼットには有孔ボードもある

裏にあるキッチンの通路確保のため、クローゼットの幅が狭くなった部分には有孔ボードを設置。収納する際に奥行きのスペースが不要な、バッグや帽子をかけています。

 

荷物を運びやすく、水回りをつなぐパントリー

パントリー

食材やキッチン家電の収納としてパントリーも設置しています。間取りとしては「キッチン/パントリー/洗面室」という配置に。クローゼット同様にウォークスルー型で、キッチンは当たり前ですが、洗面所からもアクセスできます。その広さは1.25畳(約2㎡)。

買い物から帰ってきて、洗面所で手を洗って、すぐに食品やストックをパントリーに収納、そして隣のキッチンで調理。この動線はとても便利です。

ちなみに、キッチンのカップボードに収まりきらない家電も、パントリーの可動棚にたくさん置けます。

やはりウォークスルー型は「ただの通路になりがちな場所を、収納スペースに変える」というムダのなさが、すばらしいです。

 

LDK一角の畳スペースに大きな収納を

リビングの一角にある畳スペース

家族が集まり、長い時間を過ごすリビングはものが増えがちです。筆者も、大きな収納があると便利だという声を聞いていました。

確保したかったのですが、筆者が気に入るデザインの収納扉が見つからず、大きなリビング収納は不採用。

代わりにしたのが、リビングの一角に畳スペースをつくることでした。ここに、違和感なく、好きな和テイストでおしゃれな大きな収納を設置することにしたのです。その広さは1畳強(約1.8㎡)。

LDKの目立つ位置にあるので、見た目にもこだわりました。普通の「THE押入れ」というような収納ではなく、宙に浮かせたような軽快なデザインにして、和モダンな雰囲気に。

集成材の扉には、木目調で好きな色の壁紙を貼りました。ただの集成材がおしゃれに様変わりして気に入っています。