作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセイ。年齢を重ねるごとに思う、自分との向き合い方についてつづってくれました。

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第86回「自分との向き合い方」

暮らしっく
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ここで連載してきたエッセイ「暮らしっく」が一冊の本にまとまりました。二週間に一回、自分を振り返って、気づいたことや感じたことを書き留めてきた、三年間の日誌のような本だ。自分の半径10メートルのことが書かれているけれど、自分一色というわけではない。近所の人や、家族や友人、植物など、さまざまな他者との関わりの中に、自分の気付きや発見があって、そういう毎日が積み重なって人生ってできていくんだな。と、読み返しながら客観的に思ったのだった。

●体力の問題

そんな「暮らしっく」の中で、よく出てくるのが体と心のこと。繋がっているので、どちらが崩れても生活が保てなくなる。

私の場合、愛媛で農業をしながら東京では作家をしているのだが、このエッセイのように毎月、何本かの原稿の締めきりがやってくるので、農繁期だとしても書かねばならぬということだ。

農作業
サトウキビ畑の刈り取りも冬

今は、みかんの出荷が佳境で、昼間は畑でみかんの収穫などをし、夜は納屋で連日梱包作業をしている。夜も更けて、机に向かいいざ書くぞとなると、もう電池の残りは少なくなっている。やばいぞ、ね、ね、ねむい。パソコンを開いたままその場で突っ伏して眠ってしまっている。うあー!! 朝やー! というのを何回もやってしまって、ああもっと体力があればなあと思う。兼業農家の多くのみなさんが、繁忙期は、こうして二足のわらじを履いていることだろう。

みかんの箱
みかんの収穫。キャリー25キロを持ち上げる!

中には20キロ以上あるみかんの入ったダンボールをうんしょっと持ち上げることもあって、そのうちに腰がびりびり痺れてくる。痛いのならまだわかりやすいけど、腰が痺れるというのは危ないよなあ。うーん、でも作業をやめるわけにもいかない。

40代からの足腰のトレーニングって、みなさんどうされているんでしょうか? 日常生活を送るだけでは、筋力って衰えていく一方ですよね。