大の漫画好きとしても知られるTHE ALFEEのリーダー・高見沢俊彦さんが、今イチオシの漫画を紹介する「タカミーのベストヒットコミックス」。今回は、高見沢さんが選ぶ、2022年のベストコミック3作品を発表! 気になるベストオブベストはどんな作品なのでしょうか? ぜひ、年末年始に読んでみてください。
高見沢さんの2022年ベストコミック。1作目はこちら!
●不条理に立ち向かい、知性のバトンを受け継ぐ物語
『チ。―地球の運動について―』魚豊/著 小学館刊(1)~(8)
異端思想が弾圧されていた中世ヨーロッパが舞台。主人公ラファウは飛び級で入学する予定の大学で、神学を学ぶ予定だった。しかし、ある男の登場により、異端思想ど真ん中の「地動説」に魅了されていくことになる。
チ。―地球の運動について― (1) (BIG SPIRITS COMICS)
命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか? アツい人間を描かせたら敵ナシの『ひゃくえむ。』魚豊が描く、歴史上最もアツい人々の物語
●カミュの『異邦人』を読んだ時のような衝撃を受けた
高校生の頃、一時的に実存主義にハマったことがあります。子供でもなく大人でもない中途半端な時期に不条理という言葉はひじょうに魅力的でした。今回紹介するコミックは中世欧州における宗教の不条理を正そうとする真理探究サスペンス。この物語、カミュの『異邦人』を読んだときのような衝撃を受けました。物語の主人公が地動説というのも秀逸でおもしろい。
15世紀初頭の欧州P国ではC教が唱える天動説が善であり、真逆の地動説は異端となり、研究するだけでも処刑されてしまいます。まさに宗教対科学、天動説対地動説の長い戦いのドラマは、さまざまな人間に知性のバトンとして受け継がれてゆきます。今後、どのような結末を迎えるのか、とても楽しみですね。
THE ALFEEも来年で結成50周年! バンドとは長くやり続け、楽曲創作し続ける事に音楽の真理があると信じています。コロナ禍という不条理な時代を超え、これからもバンド長期活動説を唱え続けていこうと思います。(ESSE2022年6月号より抜粋)