読者から届いた素朴なお悩みや何気ない疑問に、人気作『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社刊)の作者・菊池良さんがショートストーリーでお答えします。今回は一体どんな相談が届いているのでしょうか。

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今回のお悩みは…(写真はイメージです)
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前回の相談はこちら

人との会話を振り返って、あとから後悔…。もう気にならなくなる方法とは?
タイトル

ここはふしぎなお悩み相談室。この部屋には世界中から悩みや素朴なギモンを書いた手紙が届きます。この部屋に住む“作者”さんは、毎日せっせと手紙に返事を書いています。彼の仕事は手紙に書かれている悩みや素朴なギモンに答えること。あらゆる場所から手紙が届くので、部屋のなかはぱんぱんです。

「早く返事しないと手紙に押しつぶされちゃう!」それが彼の口ぐせです。
相談に答えてくれるなんて、なんていい人なんだって? いえいえ。彼の書く返事はどれも想像力だけで考えたショートストーリーなのです。

さぁ、今日も手紙がやってきましたよ──。

 

【今回の相談】寝る前についお菓子を食べてしまう…

相談者

寝る前などについ小腹を満たそうとお菓子を食べてしまいます。なにかいい対策はないでしょうか。

(PN.ジャック&ベティさん)

【作者さんの回答】AIが人間の手助けをしてくれる

作者

我が家にアシスタント・ロボットがやってきた。このロボットは料理や掃除など、家事全般を手伝ってくれて、人間の負担を軽減してくれるのだ。AIが搭載されていて、ちょっとした話し相手にもなってくれる。

「ねぇロボット、明日の天気は?」

「アシタハ、ハレノチ、クモリ、デス」

息子が暇つぶしに話すようになった。そのうち、会話するだけではなく、息子はロボットに絵本の読み聞かせをするようになった。ロボットの横に座って絵本を開き、ページを見せながら熱心に読み上げた。

「虫はリンゴを見つけました。すると──」

「スルト? スルト、ドウナルノ、デスカ?」

まるで兄弟のようで、微笑ましい光景だった。

息子は家にある絵本はすべてロボットに読み聞かせしたが、なかでもお気に入りの一冊を何度も読み聞かせた。表紙に大きな虫が描かれていて、空腹になったその虫がさまざまなものを食べ尽くすという絵本だ。

●あるとき、ふしぎなことが起きて…

あるときのことだった。

家のなかで、ふしぎなことが起きた。買ってあったはずの食べものがが、こつぜんとなくなるのだ。最初はただの勘違いかと思ったが、同じことが何度もあってなにかがおかしいと気がついた。

「ねえ、プリン食べた?」

「ううん、知らないよ」

リビングにカメラを置くことにした。24時間録画することで、犯人を見つけるのだ。カーテンレールに小型カメラを設置し、角度を調整する。イスにのぼって作業をしていると、ふと足もとに気配を感じた。視線を落とすと、そこにはロボットがいた。いつの間にか、近づいてきていたのだった。

「ナニカ、オコマリデスカ?」

「いいえ、大丈夫」

そう言うと、ロボットは足もとを離れていった。