自身の家づくりで起きた施工ミスと原因について、一級建築施工管理技士で、二級建築士や宅地建物取引士の資格も持つ日刊住まいライターが語ります。7年前にハウスメーカーで建てる際、変更したはずの浴室のカウンターはそのまま施工に。さらに水道のメーター器や屋外の水栓が、住む地域とは違う取りつけ方をされていました。資格のない一般の人なら、どこに注意して家づくりに向き合えばよいかアドバイスします。

筆者の家の浴室
筆者の家の浴室。カウンターはホワイトを指定したが、黒のカウンターが施工されていた
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工事で起こるミスには2つのタイプがある!

工事中に続々と運び込まれる建材
工事中に続々と運び込まれる建材や設備機器

工事中のミスというと大きく2つあります。1つ目は、根本的な技術不足によるミス。もう1つは、注文したものと違うものが工事されていたというような、指示や意思の疎通がうまくいかったことによるミスです。

7年前にハウスメーカーで家を建てた筆者の家でも、実際に打ち合わせで決定したものと違う施工が行われていたという、技術的な要因ではないミスが発生しました。

施工ミスは以下の2か所:
・浴室のカウンターの色が違った
・水道のメーター器(量水器)の位置と、屋外の立水栓の蛇口の高さが間違っていた

 

●浴室のカウンターの変更が伝わっていなかった

黒い浴室のカウンター

浴室のカウンターの色については、決定後、実際に工事が始まってからブラックからホワイトへの修正を行ったことが原因でした。その指示が伝わっていなかったことによる施工ミスです。

実際に現場に出向き確認したところ、現場では図面の指示どおりに施工されていました。つまり、打ち合わせで確認した内容が、現場に伝わっていなかったという、単なる確認不足によるミスです。

この件については、変更をお願いしたときの打ち合わせ記録(業者の確認印あり)があったことにより、スムーズに修正されていました。

 

●水道のメーター器のミスの原因は、県外の業者による認識不足

水道のメーター器(量水器)の位置や立水栓の施工ミスの原因は、宅内側の屋外給排水を担当した業者が、筆者の住む地域とは異なる温暖地の業者だったことによる認識不足。それに加えて、複数の現場をかかえる工務担当者の指示不足によるものです。

 

量水器

積雪寒冷地である筆者の家は、冬場の検針で水道のメーター器(量水器)が雪で埋もれないように、軒下など雪が積もらない場所への設置が規定されています。

また、屋外立水栓については、冬場の凍結防止のため寒冷地用の蛇口(水道の蛇口に固定コマという部品が使われた蛇口)を使うはずですが、一般地用の蛇口が使われていました。

これらはどちらかというと、現場で起こるミスが技術的なものというよりも、単なる確認不足。技術的要因以外の原因であることがわかります。

ですから、途中で修正したことがちゃんと現場に伝わっているかという、技術的要因以外の部分を確認するだけで、施工ミスはかなり減ります。

 

ミスがあるのが前提で行動を。リカバリーの仕方が大事

手配された浴室の部材
浴室の工事にも、数多くの部材が運び込まれる

工事は人と人で打ち合わせし、人の作業によってでき上がります。ですから多かれ少なかれミスは発生してしまうもの。問題はそれをいかにリカバリーするのかがポイントです。

一級建築施工管理技士としての筆者の経験でも、手直しのない工事は記憶にありません。ただ、優良な業者であるほど、補修がしっかりと行なわれます。

 

修正後の浴室のカウンター

実際に筆者の家でも、浴室のカウンターは、上の写真のように取り替えられ、問題なく引き渡されました。