家好き芸人・アンガールズ田中卓志さんが突撃取材してきた建築家の自邸の中でも、ESSEonline読者の関心が高いのは、コンパクトな敷地をうまく活用して快適に暮らすお宅。コンパクトさを感じさせない間取りで、楽しい仕かけやタテの空間を生かした工夫がある3軒のお宅をピックアップしてご紹介します。
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敷地60㎡・コンパクトでものびのび、トイレには驚きの工夫も!
都心の住宅地に建つ、ガルバリウム鋼板の外壁が印象的な袁さんの家。玄関のすぐ横には赤い鳥居があり、階段を上った先の緑が鬱蒼と生い茂る神社の境内には、どこか厳かな雰囲気が漂っています。
敷地は60㎡とコンパクトで、神社側に擁壁があったり、鳥居が敷地内にはみ出したりしていたことから売れ残っており、「そのぶん安く購入できました」と袁さん。逆にこの環境を生かして、神社を尊重しつつ緑を取り込み、開放的に暮らす工夫がつまった家を実現しています。
たとえば1階は、玄関を入るとすぐ目に入るオープンな階段に工夫が満載。内部にゲタ箱などの収納スペースや洗濯機置き場を確保し、なおかつ階段を中心に回遊できるプランになっています。
「1階のトイレは、便座に腰かけて隣の洗面台の引き出しを開けると、なんとトイレットペーパーや洗浄ボタンが出てくる! 衝撃です! トイレは洗面脱衣室やお風呂と一体になっていて、通路も兼ねているので、邪魔なものを隠せるようにしたそうです」(田中さん)。
細身のスチールは階段の構造と手すりを兼ねています。見た目がスマートなだけでなく、比較的価格が安く、搬入などの手間も費用も抑えられていると聞き、感心する田中さん。
「見た瞬間、入れると思いました。しっかりしていて、なかなかのクオリティです」と、段ボールハウスを絶賛する田中さん。こちらは、壁にいろいろなものをかけられる有孔ボードを採用した多目的な1階の土間空間。左手のデスクも袁さんの手づくりで、リモートワークの仕事場になっています。
取材協力:袁碩(Shuo Yuan)さん/撮影:中村風詩人/ヘアメイク:石川真理
情報は「住まいの設計2021年8月号」取材時のものです
玄関を入るとすぐダイニングキッチン。子ども部屋は2層式
下町の風情が色濃く残る東京・谷中に建つ川崎邸。下町ならではの狭い路地に面している、約20坪のコンパクトな敷地です。1階は玄関を入ると、いきなりダイニングキッチンが登場するという大胆な間取り。
玄関の正面にあるキッチンの壁面は目に入りやすいため、久子さんがとくにこだわって、長江陶業のモザイクタイルを採用しました。
「このタイルと壁、おしゃれですね~。モデルルームかショールームみたいにスッキリしてる!」(田中さん)
「前の道が狭いので、1階は地面から1mほど高くして、視線をずらしています。バルコニーはさらに80cm上げて1.8mのフェンスを設置することで、向かいの建物からの視線もカットしています」(川崎さん)
「視線はまったく気にならないですね。ダイニングを低めに抑えた分、リビングの天井がより高く感じられます」(田中さん)
壁やフェンスでうまく外からの視線は遮りつつも、ハイサイドライトやトップライトを設けてLDKに光が届くようにひと工夫し、開放感を感じられる明るい空間に仕上げました。
小学生の長女の部屋は、ユニークな2層式。1階リビングから80cm上がったバルコニーの隣に3畳ほどの吹き抜け空間があり、はしごを上ると屋根裏部屋のようなスペースにつながっています。リビングと子ども部屋はスキップフロアでゆるやかにつながります。
「以前はリビングの一角が子どもの遊び場で、おもちゃが広がっていると落ち着かないし、いちいち片付けるのも大変」(久子さん)だったそうですが、個室ができたことで、親も子もそうしたストレスから解放されたそうです。
取材協力:川崎建築計画事務所/撮影:水谷綾子/ヘアメイク:榊美奈子
情報は「住まいの設計2020年12月号」取材時のものです