●小魚40匹分の下ごしらえをスタート!

その日は4歳の養子のぽん子ちゃんがママの実家に遊びに行っていたので、帰りに2人を迎えに行って、魚をおすそ分けしました。なにしろ家では食べきれない数です。
ママの実家では猫が3匹いて、時々釣った魚を持っていくと、新鮮な魚が好きなようで猫が大喜びで食べてくれるとのことです。

魚を釣るのはとても楽しい遊びですが、よく世間で言われるのは「釣った魚を持ち帰って放置して奥さんに嫌がられる夫」です。そんな声は僕も自覚しているので、釣った魚に関しては下ごしらえから調理、食べ残しまで僕が責任を持って処理する方針です。なので、食べにくい魚、処理しづらい魚は徹底的に持ち帰らないようにする必要があります。

そういう意味で、豆アジは非常に面倒くさい魚です。なにしろ数が多すぎて処理が大変なのです。大人が食べるだけなら、頭から丸ごと調理すればすむけれど、子どもが食べることを考えると、頭をとってはらわたを出して骨までサクサクになるまで揚げる必要があります。

面倒くさいことは後回しすると余計に面倒になります。ママの実家で分けた残りの小魚40匹分の下ごしらえを流しでしていました。

「なにしてるの~」
ぽん子ちゃんがすごく興味ありそうに近づいてきました。

「お魚を料理するための準備だよ」
「ぽん子ちゃんもする~」
しかし、そうは言っても4歳児に包丁を使わせるわけには行きません。豆アジの下ごしらえは、頭を包丁で切っておなかに切り込みを入れてはらわたを出す、そして水でおなかの中を洗います。

「それじゃあ、ぽん子ちゃん。おなかをほじくり出して洗ってくれる?」
「うん、いいよ」

魚のお腹を洗うぽん子
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マジかと思いましたが、小さなイスを踏み台にして流しの水道に手が届くようにして、僕が頭を落としておなかに切り込みを入れた豆アジを手渡すと、上手にはらわたをほじくり出してきれいに水洗いしてくれます。洗った魚はお皿に乗せます。

気が滅入るだけの面倒な作業がぽんこちゃんのお陰で楽しい作業に変わりました。
早々に包丁の作業が終わったので、魚のおなかを洗う作業を手伝おうとしました。

怒るぽん子

「ぽん子ちゃんがする! やめて!」
強い口調で怒られました。