働き方が大きく変わり、テレワークが新しい常識に。このライフスタイルの変化は、家の間取りにも影響が及んでいます。「テレワークには、小さくても集中部屋がある間取りがおすすめです」と語るのは一級建築士の守谷昌紀さん。自身が設計した4つの実例をもとに、テレワーク時代の快適な間取りを解説します。
すべての画像を見る(全25枚)Case1.都市型狭小住宅のLDKから適度に離れた集中部屋
《この家のプロフィール》
・家族構成:夫 妻 子ども2人(小学生と中学生)
・間取り:1階 水回り、寝室 子ども部屋 2階 LDK、集中部屋
1つ目の事例は、25坪弱の敷地に立つ都市型住宅です。2階のいちばん北側に、2畳ほどの集中部屋をプランしました。
デスクに向かった視線の先にある窓は、あえて高い位置に設置。明るさと、集中しやすい環境を両立するため、イスに座った際に、景色が目にはいらないよう配慮しています。
北側から入る光は明るすぎないのがメリット。長時間デスクで作業をするような部屋は、北面にもってくるのが、もっとも適しています。
テレワークだけでなく、子どもも集中しやすいよう考えた空間です。ですから、リモート授業にも大変役に立ちました。
LDKはロフトとハイサイドを備えた明るい空間。上の写真の左端に集中部屋が見えています。
ちなみにこのお宅には、ネットで調べものをするなど、軽い作業をする場合のために、テレビ横にカウンターを設置してあります。
しっかり集中したい場合は、家族が集まるLDKと適度な距離をとった場所の方が、落ち着いて仕事や勉強ができるものです。
Case2.本棚のある廊下の先につくった眺めのいい集中部屋
《この家のプロフィール》
・家族構成:夫 妻 子ども2人(幼児)
・間取り:1階 洋室×2、水回り、集中部屋 2階 LDK、寝室、子ども部屋
2つ目の事例は、池のほとりに立つ家の1階にあります。
2階は池に向かって張り出したLDKから、池を眺めることができます。
そのすぐ下にあるデッキ越しに、集中部屋(中央のガラス窓の部分奥)があります。
廊下の奥にあるのが集中部屋です。ただの通路となりがちな廊下の幅を広くとり、両サイドを本棚にしました。突き当たりに大きな窓をとり、その前に机をつくりつけたのです。
大きな窓の前にくぼみのような空間をつくりました。扉はないので、エアコンと床暖房も備えています。
オーナーいわく、池を眺めながらの仕事は大変はかどるそう。廊下をひと工夫すれば、このような空間を確保できるのです。
先の事例では、あえて窓の外を見せない仕掛けにしていますが、このあたりの塩梅は、住む人のキャラクターによって、正解が変わってくるように思えます。
Case3.プランの余白スペースを生かした集中部屋
《この家のプロフィール》
・家族構成:夫 妻 子ども2人(幼児)
・間取り:1階 LDK、和室、水回り 2階 LDK、寝室、子ども部屋、集中部屋
3つ目は閑静な住宅街に建つ家です。
への字のプランが特徴的で、LDKと広い玄関土間がほどよくつながります。
キッチンの横に、2階へ上がる階段があります。この階段を上った先に集中部屋があります。
プランの形状から、2階中央に余白のような空間が生まれました。この場所を集中部屋としてプランしました(図面では「スタディコーナー」)。
集中部屋には天窓をしつらえ、ほどよい明るさを確保しています。LDKと階が違うので、家族と離れてひとりで集中したいときにはもってこいなのです。
じつは、LDKにもスタディコーナーがあります。この2つの場所を使い分けることで、さまざまなシチュエーションに対応できます。