●やることを9割に減らすコツ

一田さんの部屋
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9割でやめるためには、「やること」を1つ減らさなくてはいけません。それはなにかを「諦める」ということです。“欲張り”には、コレができないのです。いつもは10個しか入らない枠に11個、12個を詰め込みがちなのに、9個に減らすだなんて…。

かつて「エヌ・ワンハンドレッド」を営んでいらっしゃった大井幸衣ゆきえさんが「私のモットーは、明日でいいことは、今日やらないってことよ」とおっしゃったのを聞いて、なるほど~と思いました。私は、「明日のことを今日やっておけば、明日がちょっとラクになるかも」と思っていましたから…。でも、よく考えてみれば、明日のことを今日やっておいても、明日になれば、またやらなくてはいけないことが生まれてきて…と、きりがないのです。

だったら、今目の前にあることの中で、「明日でいいこと」を探してみたら…。ありました、ありました、いっぱい! あの書類の整理も、このリストづくりも、キッチンの片づけも、DMの整理も、明日でいいかもしれない…。なんだ、今日どうしてもやらなくちゃいけないことはそう多くない、と気づきました。私は常に先へ先へと前倒しすることで、自分の不安を解消しようとしていただけなのかもしれません。必要なのはあと1割を残して、ガラガラとシャッターを下ろす潔さ。

●9割でやめることで見えてくるもの

そんな「9割の目」を持って、自分の人生を眺めてみたら、毎日が変わってくるかもしれません。極端なことを言えば、今、生活のほとんどすべてを占めている仕事をしなくなる日がいつかやってくるかもしれないし、絶対コレだけはしておかなくちゃ、と思い込んでいる掃除や日々のごはんづくりだって、しなければしないでなんとかなる…。いつも正面からしか見てこなかったものを、後ろから見ると、価値観がぐらりと揺らぎます。9割でやめる、ということは、単に時間にゆとりを持つだけでなく、そんな「もう一つの視点」に気づくことなんだろうなあ。

「なにがなんでも、今日はここまでならなくちゃ」と思い込んでいた自分をふっと緩めてみる…。そうやって、自分を甘やかし、許し、解放することも、必要になってきたのかなと思います。ふ~っとひと息ついたとき、見える風景、聞こえる音、感じる風を大事にしたい。そう思うと「あと1割」の先に広がっている世界をのぞくことがなんだか楽しみになってきました。

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