かつて、騒音が原因の隣人トラブルで苦労した日刊住まいライター。こんな経験はもうこりごりと、のびのび暮らすために「できるだけ外に音もれしない家」をハウスメーカーと建てることに。敷地は角地選び、建物の配置や間取りに工夫をこらしました。1年ほど暮らして、結果に満足。どんな家づくりをしたのか、具体的に語ります。

わが家のLDK
にぎやかになりがちなリビングを、騒がしい道路に向けた間取りに。庭は緩衝地帯の役割も
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騒音トラブルをきっかけに、家づくりについて考える

筆者は過去10年間の賃貸生活で、2年間ほど、騒音の苦情で悩まされたことがあります。下の階の方とのトラブルでした。

そんなわけで、「定住するなら戸建てを。しかも、できるだけ外に音がもれない家づくりをしよう」と決意することに。ハウスメーカーで家を建てる際は、以下について留意しました。
・幼児の子どもたちが、のびのびと暮らせる戸建てにする
・敷地は角地を選ぶ
・建物を敷地の中央に配置して、可能なだけ隣家と離す
・建物のできるだけ中心部に、音を出しても大丈夫な多目的室をつくる

 

注文住宅を建てて、騒音問題に備える

角地に立つわが家

10年間、さまざまなタイプの賃貸に暮らしてきた筆者。ほかの住戸から音が聞こえたことがない、という部屋に出会えた経験がありません。これは言いかえれば、こちらの音も、相手に聞こえているということ。

住まいは本来、楽しい時間を過ごすためにあるもの、と筆者は考えています。騒音の苦情を気にしすぎて、ビクビク暮らすのはもうこりごり。大人も子どもも、ストレスがたまってしまいます。

ということで、新居は、戸建て一択。音に関する対策には万全を期したいので、できあがりの建売住宅ではなく、ハウスメーカーで注文住宅を建てることを選びました。

 

角地を選んで、接する隣家を少なくする

気に入ったエリアで角地を見つけたこともあって、筆者は購入を決めました。というのも、角地が、騒音に悩む筆者に好都合と感じたから。隣家と接する面が、角地なら2面と少なくなります。「気をつかう方角を少しでも減らしたい」という、わが家にはありがたい土地。

 

我が家の駐車場

上の写真は、わが家の駐車場の奥です。左手の塀の向こうは、お隣さんの家。じつは縁側が、わが家に向いています。この駐車場スペースは、わが家の建物(写真右手の白い壁)とお隣さんの、いわば緩衝地帯。お互いの建物が離れることで、騒音トラブルのリスクが下がります。

 

LDKに面した庭

ちなみに、角地を選んだことで1面増えた道路側には、LDKを配置しました。なにかと騒々しくなりがちなLDKを、隣家ではなくて、にぎやかな道路に向けてしまえば、こちらもなにかと気楽です。南側を向いていることも、理由のひとつでした。

なお、庭の存在も、道路やご近所宅との緩衝地帯として、ここでも役に立っています。

 

建物を敷地の中央に配置して、隣家と離す

図面

わが家が購入した敷地の形は、ほぼ正方形。建物は、敷地の中央に配置しました。家の周りにぐるっとスペースをつくり、隣家との緩衝地帯にするためです。ちなみに、図面の上にある隣家(先程の縁側がある隣家)との間は、とくに広めにスペースをとりました。

建物をもっと端に寄せれば、駐車スペースや庭を広くできたでしょう。でも、そのメリットより、音もれが軽減できることを優先。

もともと広い庭は求めていません。それに、駐車場に来客のクルマを停める際も、横向きにすれば問題なし。どちらも筆者にとって十分なスペースです。

結果には大満足。隣家と物理的に離れるだけで、安心感が。のびのびできる暮らしを満喫しています。

 

多目的室は、外壁までの間に部屋をはさむ

音を出していい多目的室

「音を外にもらさないこと」を重視しましたが、生活を楽しむためには、音を出さざるを得ないこともあります。そんなときは、思いきって行動したい!

メリハリある生活をするために、あえて、音を出しても大丈夫な部屋をつくりました。それが、多目的室です(上の図面では趣味室)。簡易的に防音対策もされています。通気のための窓も、防音のため二重窓に。

趣味の楽器演奏を楽しんだり、子どもが活発に遊んだり。わが家になくてはならない空間となりました。

 

図面

ちなみに多目的室は、設計士のアドバイスにより、隣家と接しないように間取りに工夫が。間に部屋(トイレと納戸)を配置して、できる限り隣家に音が届かないように対策をしました。

そもそも、いくら断熱材があっても、やはり壁から音は伝わりやすいそう。音の発生源を外壁から離して、物理的に空間を開けるのがベター、と設計士からは言われました。

実際トイレに入ると、多目的室から結構音が外にもれ聞こえているので、この間取りにして正解でした。