多くの人が抱える悩みが人間関係。なぜうまくいかないのか…よかれと思って接しているのに…そう思い悩む人も多いのではないでしょうか? 公認心理師の川本義巳さんによると、自分の「ある見せ方」が人間関係のトラブルになる可能性もあると言います。今回はその特徴について教えてもらいました。
すべての画像を見る(全3枚)人間関係がうまくいかない人の特徴とは?
人間関係で悩んでいますーーこれは、本当によく相談される内容です。かのアドラー博士も「人の悩みはすべて人間関係だ」と言っているくらいですから、人間関係の相談が多いのも当たり前ということですね。
●良かれと思ってやっていることが裏目になる?
さて、そんな人間関係ですが、あなたは次のキーワードの人物についてどんな印象を持ちますか?
「八方美人」「暴君」「ナルシスト」「優等生」「かまってちゃん」
程度の差はあるかも知れないですが、あまりいい印象は持てない人たちですね。そして、人間関係のトラブルを聞いていると、決まってこういう人たちが登場してきます。
じつはこの人たちのなかには「人間関係を良好にしようとして失敗している人たち」もたくさんいらっしゃいます。そう「よかれと思ってやっていることが裏目に出ている」わけですね。心理学では、このことを「自己呈示」と読んでいます。
自己呈示の呈示という言葉は「出して示す」という意味があります。「身分証を呈示する」みたいな使われ方です。自己呈示は「自己を出し示す」ということになるのですが、いわゆる「ありのままの自分を出す」自己開示とは違い「つくられた自分」です。
●行き過ぎた自己呈示により、人間関係がギクシャクする
人は社会生活を営むうえで、「相手に合わせる」ということを日常的に行っています。
たとえば、「嫌われたくない」と思うと、自分の気持ちを押さえて、相手の都合に合わせようとします。また「下に見られたくない」「優位に立ちたい」と思うと、怒鳴ってみせたり、高圧的になったりします。言ってしまえば「印象操作」のようなもの。
「自己呈示」は、人間関係を良好に形成するために自然発生するので、なくなることはありません。むしろ自己呈示がない方が人間関係はややこしくなりそうです。
問題なのは「行き過ぎた自己呈示」です。
先ほどの「八方美人」「暴君」「ナルシスト」「優等生」「かまってちゃん」たちといったキーワードは、行き過ぎた自己呈示の結果です。「八方美人」の人は「人当たりのよさ」が行き過ぎてしまった結果、「八方美人」と印象づけられてしまうわけです。
そういったことから自分が「行き過ぎた自己呈示になっていないかどうか」を知ることで、変に誤解されたり、人間関係がギクシャクしてしまうことを防ぐことができます。