「農振法」と「農地法」の手続きをクリアするにほぼ2年!

収穫後の農地
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この「農振法」と「農地法」の手続きをクリアするには、宅地建物取引士である筆者にとっても、想定外の時間がかかりました。

とくに「農振法」での除外の手続きにかかった期間は20か月。実際に要した各手続の時間は以下のとおりです。

・農振除外申請…6か月
・農振除外…14か月
・農地転用申請…1か月
・農地転用…2か月

これだけ時間がかかったいちばん大きな原因は、農振除外といわれる農振農用地からの除外の手続きにあります。筆者の居住する自治体の農業委員会では、1年に1回しか受けつけていなかったのです(※)。

もともと窓口で担当者に確認した段階では、10か月程度と聞いていたので、予定より4か月以上遅延したことになります。

この手続きに要した期間については正直、誤算でした。

「農地法」については当初見込みとおりに手続きが進みましたが、とはいっても3か月の期間を要しています。

※大きな自治体では年に2回受け付けているケースもあります

 

申請の手続きは行政書士や建築業者に依頼する方法も

申請書に作成した建物予定配置図
申請書に作成した建物予定配置図

実際に農地を宅地にするための手続きでは、具体性のほか実現可能性が問われます。ですから、申請書の作成や建物配置図や資金計画などが必要になります。

この手続きについては、筆者がすべて書類を準備して手続きを行いました。行政書士などにすべて依頼することの方が多いかと思いますが、自分でできない手続きではないと思います。

仮に行政書士に依頼して、2つの法律をクリアする申請を同時に進める場合、農振除外申請に10万円前後、農地転用に約5万円前後の費用がかかります。

もし、ハウスメーカーや工務店と家を建てる話が進んでいれば、この申請を一括して手続きしてもらう方法もあります。

 

時間に余裕があれば、申請する価値はある!

届いた書類
やっと宅地への申請が下りて届いた農振除外通知(左)と農地法5条許可(右)

農地は農家の維持や、農業を振興するために、さまざまな法律や制度によって守られています。

農地を転売目的にしたり、無秩序に家を建てたりして虫食いのような状態にすると、耕作が非効率になってよい農業ができなくなります。ですから農地の取引や転用にも、法律によって厳しい制限がかけられています。

したがって、農地を宅地にするには、事前にその土地の状況を役所の農業委員会などに宅地にできそうな場所であるのか、事前調査しておく必要があります。

また、道路や上下水道、電気といったインフラなども未整備なことも多いので、それらを整備できるのか、その整備費用の負担はどうなるのかなども検討しておく必要があります。

 

農地と家々
写真はイメージです

さらに農地でも田などであった土地の場合には、地盤の状況や水はけの問題なども想定しておく必要があります。

たしかに農地を宅地にすることは、時間がかかることは覚悟しないといけません。しかし、景観が気に入り、できるならそこに家を建てて住みたいと思うなら、筆者のように申請する価値はあると思います。

申請をしていた当時、農業委員会の窓口担当者から言われた言葉が心に残っています。

「農地法も農振法も。そこに人がいなければ(住まなければ)法の目的は実現できませんから…」

農地に家を建てられないというのは、絶対的なことではないのです。

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