相続や宅地開発などにより、緑豊かなお屋敷や駐車場が、建売住宅や賃貸アパートになることは珍しいことではありません。いい景色を切り取ろうとつくったはずのピクチャーウィンドウが、隣の壁しか見えなくなることも…。そんな体験談を紹介します。あわせて周辺環境の変化に左右されない、家のプランについて専門家の解説も。
すべての画像を見る(全5枚)子育てしやすいエリアを選んで、土地探しから家づくりをスタート
第一子の妊娠を機に、土地を買って新築したMさん夫妻。その土地は平屋と2階建てにはさまれ、3方に家が建つ長方形。
「平屋の庭が広く、視界が開ける点が気に入りました。そのお宅の老夫婦から『このあたりは、設計次第で富士山が見える』と聞いたのも決め手に」と、振り返ります。
当初、建築家からは3階建てを提案されたそうですが、予算の都合で2階建てに。
「2階のリビングは、富士山に向かって大きなピクチャーウィンドウをつくってもらったので、眺めは期待どおり! リビングのベランダは、富士山を見ながら洗濯物が干せ、平屋の庭から風が抜けてよく乾くんです」と、妻は大喜び。
借景や通風で快適な暮らしに、突然の終わりが…
1年が過ぎた頃、隣家の老夫婦から思わぬひと言が。なんと住まいは借地で、期間満了を機に引っ越すというのです。さらに隣地の地主からは、賃貸住宅に建て替えるという通知が…。
あれよという間に、庭だった場所は3階建ての賃貸住宅に。ピクチャーウィンドウの眺めは、富士山から外壁に激変。隣家の窓が視界に入り、今ではカーテンを閉めたまま。建物の影響で風通しも悪くなり、洗濯物も乾きにくくなったそう。
「今となってはピクチャーウィンドウのサイズを変えたいくらいです。当初の提案どおり3階建てにしておけば、あとから屋上をつくるだけで眺めや物干しの快適さが保てたかも。それもこれも、借景や周囲の環境に頼ったのがいけなかったんですね」
後悔することしきりの夫婦です。