イラストレーターのなとみみわさんは、子どもが独立し、介護していた義母を看取ったあと、49歳で離婚、おひとりさまに。現在52歳のなとみさんですが、心身の衰えやこれから先の不安など、いろいろな場面で「老い」を実感するようになったそう。そんななとみさんが、自分の「老い」について考え、向き合っていく新連載「なとみみわの明るく老いに向き合い中!」。今回は、前回に引き続き、髪の毛の悩みについてのお話。美容師からの衝撃の一言とは…!?
ウィッグ購入には踏みきれない50代。美容師に相談してみたところ…
すべての画像を見る(全4枚)みなさまこんにちは。更年期ド真ん中、52歳のなとみです。
前回、薄毛に悩み、ウィッグ購入を検討しているところまでお伝えしたと思います。
ウィッグにはとても心惹かれるのですが、ウィッグをつけることに若干抵抗もありまして。なんとなく…ウィッグをつけると負ける気がして。
自然の法則「老いる」ことに、もっと己の力で抗いたいといいますか…。つまり、なんとかして自分の髪の毛を復活させたい!
ウィッグをつけるということは、自分の髪の毛を諦める事のような気がして、二の足を踏んでいたのであります。もちろん、風の噂で「結構なお値段」ということも耳に届いておりましたし。
●ウィッグを試すチャンス!その気になる感想は…?
でもそんなとき、「ウィッグ体験を漫画にする」というお仕事のオファーがきたのです。無料でウィッグを試す、絶好のチャンス! ということで、二つ返事でお仕事を受けました。そして、実際に装着。
感想はというと…もう最高。最高でした。乗せて、止めて、手櫛でセットするだけでOK! こんなに簡単に、ふんわりボリューミーが手に入るなんて。
こんなにボリューミーな自分を見たのは、本当に久しぶり。このままつけて帰りたいぐらい。なにを今まで二の足を踏んでいたのでしょうか? 今日この子を連れて帰れば、もう出かける前のぺしゃ髪と格闘しなくていいし、人の目線だって気にすることはない。昔のようにお気に入りのヘアスタイルで、外出を存分に楽しむことができる!
……でも、やっぱり、お値段がね~。だって20万円ですよ、奥様! ウィッグで20万円か…。そしてまた二の足、四の足を踏んだ私は、結局そのウィッグを家に連れて帰りませんでした。
●信頼できる美容師に相談してみることに
ちょうどその週末、美容院を予約していたので、少しカットして、髪の毛を染めれば薄毛も少しは隠れるかもしれない…。薄毛の改善方法や、今後の染める回数なんかも相談してみよう、ということに。
私がいつもお願いしている美容師Mとは、25年来のおつき合い。髪の毛以外のことだって、いろいろとわかり合っている間柄です。
もちろん、今の私の薄毛のことも充分にわかっていて、「本当になとみの薄毛がヤバいと思ったら、警報を鳴らしてよ。そこは正直にお願いね」という要望にも「了解です! そこは正直に警報をならします!」と、なんとも信頼できる美容師さんなのであります。
●美容師からの突然の警報の理由
美容院当日、正直者の美容師Mは、私の髪の毛を触るなり目を見開き「ウ~~ウ~~!」と言い始めた。声だけではなく、両手を肩のところでクルクル回しながら「ウ~、ウ~」と言っているのである。
「なにそれ(笑)柳沢慎吾ちゃん?」と笑っていた私も、次の瞬間カッと目を見開いた。
「警報だ…。美容師Mは約束通り、警報を鳴らしている」ということに気がついたのだ。
なんで柳沢慎吾ちゃんなのかはわからないけれど、数年間一度も鳴らなかった警報が、いま、2人の間に響き渡っているのである。
「…やばい?」
「…手を置いただけでわかります。なとみさん、一体なにがあったんですか?」
その頃の私は、去年入学した演劇学校の卒業制作で発表する初舞台の、罰ゲームみたいに長い台詞を覚えられなくて、恐ろしいほどのストレスを抱えていました。しかも仕事は忙しいわ、睡眠時間は短いわ、体も心も疲労はピークを超えていたのです。
「それだな…」と、Mは深いため息をつきました。