子どもの成長とともに、子ども部屋が必要になる時期がやって来ます。部屋数が限られた状況では、広い家に引っ越すしかないと思いがち。しかし『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』の著者で、一級建築士のしかまのりこさんは、部屋の模様替えでクリアすることが可能だと言います。59㎡・2LDKに子ども3人と暮らす家族を例に、3D図を使って解説。狭いからと引っ越しを考える前に、この記事を参考に。

子ども部屋
個室が必要になる子どものスペースは、家具の配置を変えれば実現できる
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部屋がたりないからと引っ越すのは大きな出費!

引っ越し費用

子ども部屋のために部屋数のある家に引っ越し。それでは大きな出費がともないます。

筆者の試算では、初期費用だけでも70万円程度(家賃20万円:3LDKの場合)。さらに引っ越し業者への支払いなどを加えると100万円を超えることも。当然、「高額な引っ越し費用」から、住み替えをあきらめる人も多いと思います。

しかし、勉強が難しくなり、また思春期に入る中学生以降に、子ども部屋がないと、いろいろ差し障りが。そこで、狭い間取りであっても、「子どものスペース=子ども部屋」をつくってあげる必要が出てきます。

 

「部屋割り」を考えれば子ども部屋問題は解決できる

狭い間取りに子ども部屋をつくるカギは、「部屋割り」にあります。部屋割りとは、「どの部屋をなんの部屋として使うか」ということ。部屋の役割を決めたり、ときには部屋の中にスペースをつくったりすることで、狭い間取りでも子ども部屋をつくることはできるのです。

では、具体的な方法を2LDKに暮らす5人家族(夫婦+長女・長男・次女)の例をもとに、解説していきます。

 

就学前:LDも2つの洋室もごく普通に使用

子どもが小学生までの部屋割り

こちらの図は2LDK・59.38㎡、マンションの間取りです。2LDKなので12.3畳のLD以外の部屋は、4.3畳・5.7畳の洋室、キッチンがあるだけです。

この2つの洋室を、子どもの成長に合わせて上手に部屋割りし、ときにはLDの中にも部屋をつくります。

 

子どもが誕生して、幼児期までの部屋割り

こちらの図は、子どもが誕生して、幼児期までの部屋割りです。LDはそのまま使い、4.3畳・5.7畳の2部屋を「部屋割り」します。

たとえば、まだ子どもが小さいうちは家族全員で就寝するため、大きい5.7畳の部屋を「家族の就寝部屋」に。また4.3畳の部屋を「あき部屋」として部屋割りします。

このとき4.3畳の「あき部屋=収納部屋」として、ものを買い詰めすぎると、あとでものの移動ができず、別の部屋として部屋割りできなくなるので気をつけてください。

 

小学生:LDにリビング学習スペースをつくる

小学生の時期の部屋割り

次は子ども3人全員が、小学生の時期の部屋割りを見ていきましょう。

小学生の間は、学習習慣をつけるため、リビングなど、親の目が届く位置に、学習空間を部屋割りしてください。そうすることで、子どもの様子を見守ることもできます。

また、子どもにとっても親が近くにいることで、安心感を得ながら学習に取り組むことができます。そのとき学習机やイスは、成長に合わせて高さの変えられるものを選んでおくと、その後の部屋割り変更時にも移動させて引き続き使用することができます。

こちらはLDの中に「リビング学習部屋」を部屋割りし、「あき部屋」だった洋室を「夫婦の寝室」にします。また「家族の寝室」だった洋室を「子ども寝室」として部屋割り変更しました。

LDに「リビング学習部屋」をつくったので、ソファはなくなります。またTVはダイニングに移動。5人家族そろって食事するときは少し狭いですが、ダイニングテーブルにスツールをあわせて使います。

「子ども寝室」には2段ベッドと布団を敷いて、子ども3人の共同の寝室として使います。収納家具も置いて、掃除から衣服や雑貨の管理も兄弟姉妹で話し合い、支えあいながらできるようにすると、協調性が育ち、また思考力も育つはずです。

 

LDにつくった子ども3人で使う「リビング学習部屋」

LDにつくった子ども3人で使う「リビング学習部屋」です。

 

「子ども寝室」には、収納家具も置く

「子ども寝室」には、収納家具も置いて、掃除から衣服などの管理も兄弟姉妹でできるようにします。