「玄関にものがあふれて使いにくい」「玄関をスッキリきれいに見せたい」…。そんな声をよく耳にします。新築やリノベーションで間取りを考える際に、玄関は重要な部分のひとつ。なにを玄関に収納するか、人の動きをどう計画するかといった検討が大切です。玄関の間取りについて一級建築士の新井崇文さんが解説。自身の設計した事例を交えて、快適で使いやすい玄関の工夫について紹介します。
すべての画像を見る(全21枚)玄関はプラン次第で快適&使いやすくなる!
玄関は家の内と外をつなぐ場所。外出するとき、帰宅するときに、必ず通る場所です。このように人とものが頻繁に行き来する場所には、さまざまな収納が必要となります。戸建てリノベーションのお宅の事例をもとに見ていきましょう。
まず考えるべきは靴。玄関には靴を脱ぎ履きするスペースと、靴の収納が必要となります。
保管する靴の数量は、家族により異なります。間取り検討の際に、家族みんなで保有したいくつの総量を確認してみましょう。また、靴棚とあわせて、傘やホウキ、チリトリなどの小物収納を設けるのも便利。
玄関では、靴を履いた状態で全身の身だしなみをチェックしたいというケースも。このお宅では、靴棚の開き戸の1枚をミラー貼りとして、姿見を設けています。
玄関には、コート・カバン・雨具・スポーツ道具など外出先で使うもの、そして、宅配便・もらいものを一時的にストックする場所などの収納も必要です。
玄関のスペースがコンパクトな場合は、床から天井までフルハイトの収納棚を設けましょう。収納量が確保しやすく便利です。
収納棚の中にも工夫を。たとえば、コートがけのスペースの奥行きがとれない場合、手前に伸縮するタイプのコートハンガーをつけると便利です。
このように、コートごと手前に出てきます。重なり合ったコートをひとつだけピックアップするのも簡単。ストレスがなくて便利です。
玄関の幅は、家族の人数分の靴(4人家族なら4足)を横並びに置ける幅が欲しいところです。1人1足ずつを出しておき、それ以外の靴は靴棚にしまうというルールにすれば、土間の床をスッキリ見せて生活することができます。
この床をスッキリさせること、というのは意外に大事。というのも、脱ぎ履きの動作がしやすくなるからです。そういう意味で、使い勝手のいい玄関にするためには、土間床の面積をしっかり確保することがポイントです。
また、人を迎えるということもあって、広がりが感じられる玄関にすることも大切。このお宅では上がり框から上のスペースがコンパクトですが、引き戸を開けておけば玄関とLDKが一体化。上がり框から、その先のスペースを広々と感じられるように工夫をしました。
玄関からLDKに入ったところを玄関ホール的なスペースとして兼用しています(写真中央よりやや右にあるのが引き戸)。