(3) 調整力

3つめは調整力で、仲間とチームを組んで作品をつくったりすることを通して身につきます。

「それぞれ少しずつやりたいことや得意なことが違う仲間たちとチームを組んで何かをするとなると、当然、揉めたり板挟みになったりすることも出てきますよね。そこを粘り強く話し合って調整をして、みんながwin-winになるように交渉しなければいけない。そういう力がつくんです。受験勉強の場合はひとり相撲なので、こうした他者とのすり合わせの力、チームワークの力がつくのはマイクラならではですよね」

(4) クリエイティビティ

4つめはクリエイティビティ=創造性。

「マイクラは簡易にいろんな空間表現ができる環境。その環境をフルに活用してクリエイティビティを発揮する、そういう能力をどんどん身につけられます」

マイクラで身につくこの4つの力は、今後の学校教育において重要視されているものとバッチリ繋がってくると言います。

「改正された学校教育法にも、これからは思考力、判断力、表現力を育成することが重要だと書かれています。まさに、プログラミングをやることは思考力、プロジェクトをやることは判断力、クリエイティブな表現をすることは表現力を育てますよね。同じく、多様な他者と協働する力も重要なものとして位置づけられているのですが、これは調整力にあたります。つまりマイクラで身につく力は、新しい学習指導要領(学校教育法に基づき文部科学省が定める教育カリキュラム)の方向性と非常にマッチしているのです」

 

●マイクラは「ゲーム」ではなく「デジタルものづくり」

デジタルと子ども
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マイクラが新しい学習指導要領とこれほどまでにマッチしているのは、じつは偶然ではなく必然なのだとか。

「私は『OECD教育2030』という2030年の世界の教育を検討するプロジェクトの創設メンバーなのですが、同時に学習指導要領の作成も大臣補佐官として勤めているので、OECDで議論していることを日本の学習指導要領にも同期させているんですね。さらに、OECDとマイクラを販売するマイクロソフトの本社は交流が深く、私自身もマイクロソフトの教育担当の方と長年のおつき合いがあるので、同じような世界の教育改革の方向性を共有している。そういう文脈の中で教育版マインクラフトはできているんです」

要するに、単にゲームをつくったらそれが教育に使われたという話ではなくて、根っこからそういう方針でつくられているわけです。

「だから、僕たちはマイクラを“ゲーム”と言っていません。“デジタルモノづくり”と言っているんですよ」