キッチンは家族が日々交わる大切な場所だからこそ、使いやすさや居心地にこだわりたいもの。そのお手本となるような、建築家・下川太郎さんのキッチンを訪ねました。理想のキッチンを実現するためのヒントがたくさんあります。新築やリフォームを考えている人は参考に。

建築家の下川太郎さんの自邸のキッチン
建築家の下川太郎さんの自邸のキッチン
すべての画像を見る(全10枚)

 

キッチンを中心にした、ワンルームみたいな家に

●下川邸のDATA

  • ・所在地:東京都

    ・家族構成:夫40代 妻50代 長男7歳 長女6歳

    ・専有面積:71.5㎡

    ・竣工:2018年11月

キッチン全景

中古マンションを購入し、3LDKだった間取りを2LDKにリノベーションした下川さん宅。リノベーションするうえで重要視したのは、キッチンが間取り的にも家族のコミュニケーションの場としても中心にあることでした。

上の写真は、ダイニング側から見たキッチン。ダイニング側の面材は木材を選び、一体感が感じられる空間になっています。

「キッチンを中心にすべての空間が見渡せるワンルームみたいな家にしようと思って、間取り全体を考えました」と下川さん。もともとはリビングを背に壁に向かって調理するような配置でした。

キッチンプラン

リノベではダイニングやリビングにいる家族の姿が見えるように、コンロをリビングダイニング側に向けた対面型キッチンに。

「家族みんなでごはんをつくって食べる。食にまつわることが暮らしのなかでとても大事なことだと考えているので、全員がキッチンに立っても作業や手伝いができるように通路は広めに、キッチンカウンターも大きめサイズで設計しました」

 

棚や壁は白で統一

オープンな間取りを採用する一方、棚や壁は白で統一。キッチンのダイニング側の面材は床や家具との調和が取れる木材をセレクト。色や素材を替えることで、空間を視覚的に区切る工夫がちりばめられています。

また、デザイン性だけではなく、機能性と使い勝手の両立にもこだわりが。使用頻度の高い食器や調理道具を収めている引き出しには、あえて大きな取っ手をつけています。

「すべて手がけにして見た目をすっきりさせることもできたんですが、調理中は手が汚れていることが多いから、開けづらくなってしまう。取っ手があれば小指をひっかけて開けることができますからね」

ついつい隠してしまいたくなる調理家電についても同様で、よく使うものは出しっぱなしが下川さん流。オーブンレンジ、トースター、ハンディブレンダーなどはグレーで統一し、目に入る色の数を抑えることで、すっきりとした印象にまとめられています。