今年は地震だけでなく、台風や大雨時の水害、土砂災害など、国内で災害が続いています。
「『備えておかないと』とは思うものの、実際には面倒だったりお金がかけられなかったりして、十分な量の備蓄ができていない、という方も多いのでは」というのは、ライフオーガナイザーでファイナンシャルプランナーでもある下村志保美さん。
ここでは、お金を節約しながら上手に備蓄する方法について語っていただきました。
備蓄の妨げになっている原因のひとつに「備蓄食料は高い」という理由が!
農林水産省の「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」によると、最低でも3日間、できれば1週間分の備蓄をすすめています。
しかし防災用として売られている長期間保存可能な食品は、通常の商品に比べて割高。
通販サイトを調べてみると、1週間分の非常食セットは8000円から1万5000円程度。それを家族の人数分、1度に購入するのはちょっとためらってしまいますよね。
そしていちばん悲しいのは、せっかくそろえた備蓄食がいつの間にか賞味期限、消費期限ぎれになること。
「高かったのにもったいない」ももちろんですが、なにより「本当に必要なときに食べることができない」ということが問題です。
●「ローリングストック法」でお金をかけず、ムダにしない備蓄が完成
そこでわが家では、通常の缶詰や乾物、レトルト食品をいつも少し多めにストック。ご飯や袋ラーメン、ツナ缶、粉スープなど比較的長期保存ができるものを中心に、普段から食べ、いざというときには災害用食品として利用します。
キッチンのコンロ下のスペースに収納し、いつも使っているので、賞味期限ぎれもありませんし、減ってきたら買いたすこともできます。
このように食べながら、使いながら備蓄することを「ローリングストック法」といいます。
●たくさん備蓄しておきたい水も、普段から飲んで補充することで格安に
お水も長期保存のものではなく、普段使いのものを多めに購入してストックしています。
5年間保存できるという保存水の値段を調べてみたら、500mlのものが1本あたり約104円。一方、わが家がいつも飲んでいるお水は500mlのものが1本あたり約33円。約3倍違います。
一般的には1人につき、1日3リットルの水を7日分備蓄する必要があると言われています。
夫婦2人と子ども1人の場合だと1日9リットル、7日分で63リットル。500mlのペットボトル126本分です。
これを5年保存のお水で用意すると1万3104円。ちょっとちゅうちょする値段です。
一方で普段飲んでいるお水で用意すると4158円。これくらいなら備蓄しておこうかな、という気持ちになりませんか?
そしてまた大切なのは、期限ぎれにならないよう備蓄を循環させること。
普段浄水器の水を使っている方であれば、備蓄を循環させるために「ご飯を炊くときはペットボトルの水を使う」などの決まりごとをつくっておくといいですね。
わが家の場合は外出時はマイボトルではなく、この備蓄しているお水をバッグにポンと入れて持っていくようにして、常にお水を循環させる仕組みにしています。
●被災時に「いつもの味」が食べられることが安心につながる
ローリングストック法のもう1つのメリットは、被災時に慣れた味のものが食べられること。
被災時、食品が手に入りにくい状況ではどんなものでもありがたく感じるかもしれません。
しかし、心も体も疲れきったときに慣れた味のものを食べると、それだけでホッとできるはず。
そのためにも、普段から食べ慣れている食品を多めにストックすることは価値があります。
東日本大震災で被災した友人の話によると、普段からママの手づくりのものを食べていたお子さんは、配られるインスタント食品やレトルト食品が食べられなくて困ったそうです。
災害時に備えるという意味では、月に1回程度、ストックしているインスタント食品やレトルト食品を食べる機会をつくり、食べ慣れることも必要ですね。
●「いつもの食品をちょっと多めに」を心がけて!
お金がない、もったいないから水や食料の備蓄ができていなくて、実際の災害時に食べるものがなく、子どもが「のどが渇いた、おなかがすいた」と泣く…そんな状況は避けたいもの。
普段使う水や食品を少しだけ多めにストックしておき、日々使う、買いたすを繰り返すローリングストック法なら、メリットがたくさんあります。
<ローリングストック法のメリット>
・備蓄用につくられた食品に比べて割高感がない
・循環させて使うので期限ぎれがない
・普段使う食品なので味に慣れている
お金をかけなくても非常時への備えはできます。大切な家族を守るため、賢く安心に備蓄したいですね。