リビングダイニングがいつも散らかっている。この悩みは、単にものを処分するだけでは解決しません。片づいた状態を保つための方法を『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』の著者で、一級建築士のしかまのりこさんが、3Dを使ってわかりやすく解説してくれました。ポイントは日頃、部屋をどんなふうに使っているかを洗い出し、その機能別に空間を分けること。これだけで、リバウンドも減ります。
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ものを処分しても散らかる理由は2つある
ものが多すぎるために、散らかると考えられがちです。しかし、筆者に相談に来る方のなかには、思いきってものを処分したはずなのに、散らかってしまうという方が多くいます。
なぜなら、ものが多すぎること以外に、散らかってしまう理由があるから。それは、以下の2つです。
●ものが散らかる原因
- 1.収納が少ない
2.機能別に空間分けができていない
なぜ、収納が少ないのか? それは、収納の面積を増やすと、その分、部屋の居住スペースが減ってしまうからです。
たとえば、こちらの図のように、10畳のリビングダイニングに1畳の収納をつくったとしましょう。必然的にリビングダイニングは9畳になり、設計依頼者に対して「狭いリビングダイニング」という印象を与えてしまいます。
家具を置けばさらに狭くなります。ですから設計段階では、依頼者から「収納を多く」という希望がない限り、設計側の立場としては、部屋の方を広くとるプランにします。結果として、収納の少ない部屋になり、ものが散らかる原因となるのです。
また部屋が「機能別に空間分けができていない」ことも、ものが散らかる理由です。
たとえばリビングダイニングには「食事をする」「くつろぐ」という機能がありますが、最近では「仕事をする」「洗濯物を干す、収納する」「子どもが宿題をする」など、新しい機能を加わえた家庭が増えています。
しかし、これら複数の機能が集まるということは、文房具や学習用品、洗濯物や仕事の書類など、多くのものがリビングダイニングに集まってくることになります。そのため、部屋の中に機能ごとの空間分けができていないと、ものがあちらこらに入り混じり、散らかる原因となってしまいます。
では、どのようにすれば部屋が片づけやすくなるのか? 部屋の間取り図を使って、くわしく見ていきましょう。
まず現状のリビングダイニングの機能を洗い出す
片づけやすい部屋づくりで、いちばん最初にすることは「部屋の機能の洗い出し」です。
前述したように、リビングダイニングは、本来「食事をする」「くつろぐ」場所ですが、それ以外にも「洗濯物を干す」「子どもが宿題をする」などの機能を、追加しているケースが増えています。
みなさんも、自宅リビングダイニングをどのように使っているか、機能の洗い出しをしましょう。参考のために、モデルケースを使って解説していきます。
こちらは、小学生の子どもがふたりいる家庭のリビングダイニングをモデルケースとして作成した図です。広さは13畳とします。決して狭くはありません。
子どもがふたりとも小学生ということと、夫婦共働きのため、洗濯物や学習用品がリビングダイニングに散らかり放題になっています。
そのため、こちらのリビングダイニングに追加する機能として、本来の「食事をする」「くつろぐ」機能以外にも、以下の2つの機能が必要になります。
・子どもが宿題や勉強をする機能
・洗濯物を干す、収納する機能