さて、原因が分かれば、次は対策です。羽田さんは、おねしょ・おもらしを治すためには、次の3つを心がけるといいと話します。

前述の原因の解消につながる、「水分と塩分のコントロール」「睡眠の工夫」「トイレの習慣」です。

 

●対策(1) 水分と塩分を控える

「おねしょ・おもらしの原因でいちばん多いのは、水分と塩分の摂りすぎ。ここを改善するだけで、あっという間に治る子もいるほど、いちばん取りかかりやすく、効果も出やすい対策です。

まず第一歩は、飲みものを飲むとき、落ち着いて少しずつ口に含むことを意識すること。これだけでも量を減らせます。おねしょ・おもらしをする子の多くはついついがぶ飲みしてしまう癖があるので、意識しましょう。

1日の水分量の目安は、冬は800ccまで、夏は1000ccまでと覚えてください。内訳は、3度の食事の際に、それぞれ200ccずつ。それ以外では、冬は0~200ccまで、夏は100~400ccまでです。もちろん、汗を大量に流す激しい運動をする際には、冬は500ccまで、夏は1000ccまで追加で水分補給をしても構いません。

また、カフェインは利尿作用があるため、水、麦茶、ルイボスティーなどノンカフェインのものを。牛乳はノンカフェインですが、カルシウム含量が多く、大量に飲むとおしっこが出やすい傾向があるため、必要最小限にとどめたほうがいいでしょう。果物も、水分が90%も含まれるため、夜ではなく朝に食べることをすすめます」

ラーメンの汁を飲む子供
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同時に控えたいのが塩分。

「カレー、フライドポテト、ハンバーガー、ハンバーグ定食、ラーメン、かつ丼など、子どもに人気の外食メニューの多くは、塩分が多く含まれがちです。ラーメン、うどんに至っては、汁ごと飲めば塩分と水分を摂りすぎてしまいます。みそ汁もそうですが、具だけを食べるよう心がけましょう」

食べる時間もポイントです。

食べてから3時間経つと、摂った水分の80%、2時間経つと60%がおしっこになることが分かっています。夕食を食べてから寝るまでに3時間は空けたいところです。現実的に難しいかもしれませんが、例えば21時に寝る子は最低19時までには夕食を食べ終えるのが理想です」

毎日は無理でも、おねしょ、おもらしをどうしてもしたくない当日、前日だけは、がんばれるかもしれませんね。

 

●対策(2) 睡眠の量と質を見直す

次に工夫すべきは、深い睡眠を取ること。そのためには、睡眠時間もある程度取ることが大切だと、羽田さんは説きます。

「深い睡眠を十分に取ると、おしっこを濃くし、その分、量を減らしてくれる『抗利尿ホルモン』の分泌が促進されます。ところが睡眠時間が足りないと、深い睡眠の時間が足りず、うまく分泌されないことがあるのです。

量としては、最低でも8時間、できれば9時間から11時間くらいは寝てほしい。同時に、睡眠の質も大事。寝る前は、睡眠の妨げになるスマートフォンやタブレットを見ない、静かに入眠できるような環境を整えるなど、工夫しましょう」

 

●対策(3) トイレにはこまめに行く

もう一つ見直したいのが、「トイレの習慣」。羽田さんは「トイレには何回行っても構いません」と言います。

「帰宅してから寝るまでの間に1回しかトイレに行かない子もいるようですが、これでは体内の余分な水分を、寝るまでに出し切ることができません。帰宅して1回、夕食を取ってお風呂に入る前に1回、そして寝るまでの間に1~2回。とくに寝る直前は必ず行きましょう。そんなに頻繁にトイレに行くと、膀胱におしっこをためる力がつかないのでは? と不安になる方もいるでしょう。でも、その力をつけた方がいいのは、膀胱容量が非常に少ない子だけ。訓練するにしても1日1回までにとどめれば十分です」

 

くり返しになりますが、おねしょやおもらしの原因は一つではなく、いくつかの要因が重なって起こるケースがほとんど。ということは、対策もどれか一つだけすればいいわけではなく、すべて行った方がゴールに近づきやすいといえます。

 

どの対策も、今日からできることばかり。子どものおねしょやおもらしに悩むご家庭は、早速今日から始めてみませんか?