女優・川上麻衣子さんの暮らしのエッセー。 一般社団法人「ねこと今日」の理事長を務め、愛猫家としても知られる川上さんが、猫のこと、50代の暮らしのこと、食のこと、出生地でもあるスウェーデンのこと(フィーカ:fikaはスウェーデン語でコーヒーブレイクのこと)などを写真と文章でつづります。
第9回は、現在50代半ばの川上さんが新年に考える「これからの人生」について。

猫とフィーカ
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2022年。東京は気持ちのよい天候のなか幕を開けました。コロナ禍で迎える2度目のお正月。なんとなく季節感がないままに漠然とお正月が来てしまった様に感じるのはやはり、コロナによってさまざまな行動を自粛してきたせいなのでしょうか。

女性と猫
愛猫タックと新年に撮影

世界中が同じ、はがゆさと不安の中にいる時代だからこそ、健やかに日々を過ごすことができますようにと、願う気持ちがより強くなりました。

●50代半ばだからこそ考える「今の自分の生き方」

前回、子どもを産めなかった50代について思うことを書いたところ、沢山の反響をいただきました。「書いてくれてありがとう」という同世代の女性からの言葉には、皆それぞれに張り詰めた気持ちを抱えて、乗りきってきたのだろう強さと優しさを垣間見る思いがしました。

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一方で、親の介護の真っただ中にいらっしゃる方からは「本当にこんな人生を自分が望んで生まれてきたのだろうか」と、もがいている現状が届けられました。

2匹の猫

2022年元旦。60歳が刻々と近づいてくるなか、神社に手を合わせて祈ることは、一年を無事に過ごせた感謝と「家族、友達、猫たちが皆健康に、一年を過ごすことができますように」。

そこに尽きるのですが、一方で、同世代の皆さんは寺山修司の詩などできっと聞きなじみがある「さよならだけが人生だ」という言葉が妙に心をよぎっていくことが増えてきて、心がザワザワし始めているのも正直なところです。

●「さよならだけが人生だ」が意味するものとは?

健やかに一年が過ごせるようにと祈った神社は、この2年の間にはコロナで生死を彷徨う友の命を救って下さいと、何度も手を合わせに来た場所でもあります。

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その願いは叶えられたものも、叶えられなかったものもありました。

「さよならだけが人生だ」

若い頃には、ひどく冷めた言葉に感じて、歌の一節くらいにしか思っていなかったはずなのに、最近は妙に説得力をもって、ノシノシと足踏みをしながら迫ってくるようです。

人は皆いつかは死んでしまうのだから…。
そんなことだろうと刹那的に思いだながらも、この気になる言葉を探ってみると、「さよならだけが人生だ」には「花に嵐のたとえもあるさ」という前振りがあっての言葉だと思い出されました。