食材やつくりおきおかずの保存に重宝する、保存容器。器のように食卓で主役になる機会は少ないものの、毎日の食事の準備には欠かせないものです。
「保存容器にも、いろいろな素材、形があります。わが家では、機能性の高さを基本にしつつ、保存容器を食卓に出したり、お客様の目に触れたりする場面も想定して、食材が映える素材のものを厳選して使い回しています」と語るのは、料理ブロガーで、おもてなし術にも定評のあるぶち猫さん。
メインの保存容器にはほうろうを、補助的なものはプラスチックで使い分け
ここではぶち猫さんに、保存容器の選び方と使い分け方法を教えてもらいました。
●食材の保存には、ほうろう製の保存容器がおすすめ
わが家でいちばん出番が多い保存容器は、密閉できるフタのついたほうろうの保存容器です。とにかく使い勝手がいいので、いろいろな形のものを複数取りそろえて日々活用しています。
ほうろうの保存容器の最大の長所は、表面がガラス素材で覆われているので、におい移りがしにくく、雑菌が繁殖しにくいところ。油分が多いおかず、色移りしやすいおかず、においが気になる食材などを保存するのにちょうどいいのです。
写真は、ほうろうの保存容器にカレーの残りを入れたところ。
カレーのように油分が多く、色移りしやすい料理をプラスチックの容器に入れると、油を落とすためによく洗浄したり、漂白したりとあと片づけが大変です。
一方、ほうろうの保存容器は、素材の特性上、油汚れが簡単に落ちて色移りもしないので、気軽に使うことができます。写真のような小さめの容器は、油分が多かったり色移りしやすかったりする料理の余りを保存するのにぴったり。
におい移りがしにくいという特性上、ほうろうの保存容器は魚介類の保存にも向いています。私は時折魚市場で丸ごとの魚を買うのですが、下処理をした魚を保存するのは、もっぱらほうろうの保存容器です。
同じ理由で、買ってきた肉類もパッケージから取り出して、ほうろうの保存容器に移しかえて保存しています。肉類は小さいおかずにこまごま使いたいときが多いのですが、ほうろうの保存容器に入れておくと衛生的かつ、少量を取り出して残りをすぐにしまえて便利。
●野菜をいい状態で保存でき、使い忘れも防ぐ
ほうろうの保存容器は、野菜の保管にも適しています。
週末に野菜をまとめ買いしたのち、そのまま冷蔵庫の野菜室に入れるのではなく、素材に応じて水洗いしたり、短時間冷水につけてシャキッとさせたりして、一番大きいサイズのほうろうの保存容器にまとめて入れ、フタをして冷蔵庫で保存しています。
こうすると、野菜をいい状態で保存できるだけでなく、容器をあけると買いおきの野菜がどのくらいあるか一目瞭然で、野菜の使い忘れを防ぐこともできます。
●生活感が薄いので、パーティにも使える
もうひとつ、ほうろうの保存容器のよいところは、生活感が薄いところ。
たとえば、持ち寄りでホームパーティをするときに、料理やデザートをほうろうの保存容器につめていくと、プラスチックや使い捨ての容器を使うよりも器に盛りつけている風になり、清潔感が出るように思います。
しかも、フタをすれば密閉できて気軽に持ち歩くことも可能。
外に持ち出すときだけでなく、家でのパーティにもほうろうの保存容器は活躍します。
たとえば、サラダなどの冷たいおかずを先につくって冷蔵庫で冷やしておくとき。
ほうろうの保存容器に入れてデコレーションまでしておくと、フタをしてそのまま冷蔵庫にしまえるだけでなく重ねることもできるので、冷蔵庫の中を有効に活用できます。
さらに、ほかのお皿に移しかえることなく、ほうろう容器を器に見立てて、フタを外した状態で食卓に並べるというアレンジもあります。ホームパーティではホストがあまり忙しくキッチンにこもっていると、ゲストにも余計な気を使わせてしまうので、道具をうまく使って、パーティ中はなるべく手間を省いて楽しみたいものです。
●調味料の保存にも長けている
密閉できて汚れが定着しにくいという性質を利用して、わが家では調理に使う塩と砂糖も、ほうろうの保存容器に入れています。
小さい四角いタイプを選んだ理由は、短期間で中身を使いきって、マメに丸洗いすることで清潔な状態を保つため。それから、小さくて白くて四角いと圧迫感がなく、キッチンの隅に目立たずにおいておけるからです。
さらに、わが家はみそを入れる容器もほうろうの保存容器を活用しています。冷蔵庫から出し入れすることが多いので、取っ手のある大きめのタイプ。
みそは保存性が高い食品ですが、そのぶん長く使い続けることも多いので、雑菌が繁殖しにくいほうろうの保存容器に入れて、清潔なゴムベラで使う分だけを取り出すようにしています。
●電子レンジが使えないこと、重さに注意を
こんな感じで、わが家では大活躍のほうろうの保存容器ですが、短所を挙げるとすると、電子レンジが使えないこと。代わりに直火での加熱が可能なので、直火で加熱してもよいもの(カレールーなど)はそのままコンロで加熱してしまうのですが、汁気のないおかずなどは電子レンジ対応のお皿に移しかえてから加熱する必要があります。
また、ほうろうは鉄の表面にガラスを密着させたものなので、プラスチック製のものよりは重さがあります。家の中で使う分には問題ありませんが、外に持ち出す場合には、器の重さも考慮する必要があります。
●プラスチックの保存容器は透明感と形で選ぶ
ほうろうの保存容器の短所、とくに電子レンジにかけられないという性質をカバーするため、わが家ではほうろう素材以外の保存容器も常備しています。
耐熱ガラスの容器も検討したのですが、軽さ、扱いやすさとデザインなどを総合的に考慮して、最終的には、透明度の高い素材でデザインの洗練されたプラスチックのものを同じシリーズでひととおりそろえることにしました。
プラスチックの保存容器の長所は、なんといっても、容器ごと電子レンジにかけられること。温めて食べるつくりおきのおかずを保存するのにぴったりです。
透明度の高いプラスチックだから、冷蔵庫にしまったときに中になにが入っているか、よく見えます。
毎日少しずつ食べたい果物や、彩りに使うプチトマトなどを入れておくと、冷蔵庫をあけるたびに目に入るので、使い忘れや食べ忘れを減らすことができます。
また、デザインにこだわったものを選ぶと、いつもの食材を入れておくだけでも、ちょっとおしゃれな雰囲気になって毎日の楽しみが増えます。
最近知ったショウガの保存法として、「ショウガを保存容器に入れて水に漬けておく、水は毎日変える」というのがあるのですが、
ほうろうだと水分で腐食する可能性があるので、もっぱらプラスチックの円柱型の容器で行っています。深さのある円柱型だと、ショウガ1パックとちょうどよい水分がこぼれにくく収まります。
円柱型のプラスチックの容器のもうひとつの使い道が、丸い形のものを入れること。
たとえば、丸い形のチーズを同じ形のプラスチックの保存容器に入れると、ぴったりと収まっていい感じ。
もちろん四角い容器に丸いチーズを入れても問題はないのですが、こうして食材にぴったりとはまる保存容器を探して使うようなことが、日々の生活のささやかな楽しみをつくりだしてくれるような気がしています。