最近の住宅では、オープンなアイランドキッチンが人気です。しかし、ものが目につきやすく、生活感が出てしまいがち。この問題、一級建築士の守谷昌紀さんは、パントリー(キッチンの一部、または、そのそばにある収納スペース)をつくれば解決すると言います。自身が設計した5つの事例を通して、使いやすくて、スッキリ片づくパントリーについて解説してくれました。快適な暮らしを実現する新築やリノベのアイデアに、ぜひ生かしてください。
すべての画像を見る(全22枚)<事例1>小さくても2倍の価値がある動線上のパントリー
パントリーといえば「大きなスペースが必要…」と思うかもしれませんが、間取りを工夫すれば、小さくても十分使い勝手のよいパントリーが実現できます。
こちらの家のパントリーは、コンロが壁側、シンクがダイニング側にあるⅡ型タイプのキッチンの奥に設計しました。面積はわずか1畳弱です。
閉じられた小部屋のように見えますが、勝手口につながっている動線上に配置しています。
勝手口とつながっていることで、買い物してきたもの(食材など)をすぐに収納でき、キッチンで出たゴミも短い動線で出せるという、2つのメリットがあります。
パントリーは、省スペースのため引戸を採用しました。開けておけば、小さいぶん距離が近くとても使いやすいのです。
ストレスなく通れるよう、可動棚の奥行きは浅めの20cmに。ビン類、缶詰類はほぼ収納できる大きさです。
勝手口と「兼ねる」ことで2倍の価値が生まれます。
<事例2>家事スペースと一体となったパントリー空間
次は、対面キッチンのすぐうしろにある、家事スペースと一体となった家事ラクキッチンのパントリーです。
キッチンの裏側に家事スペースをつくりました。その奥にパントリーがあります。家事スペースの壁側には、収納棚もあります。エリア一帯が大パントリーともいえるプランです。 手前に見えるゴミ箱は動線上にあり、のぞきこまなければキッチンの外からは見えません。
ポイントは調理のあき時間も、すぐに家事スペースに移動し作業ができるところ。奥まっているので、少々散らかっていても見えません。
奥のパントリーには扉ではなくカーテンに。家事スペースとの行き来もしやすくしました。
<事例3>リノベでもできる!使い勝手のいいパントリー
リノベーションも2例紹介します。まずは、パンづくりや、お菓子づくりが大好きな建主のキッチンパントリーです。
壁づけのI型キッチン。ダイニング側に調理台があります。その横に扉つきのパントリーを配置しました。
パンを直接こねられるよう、調理台の天板は人工大理石です。
パンづくりが大好きな人には、とくにおすすめの間取りです。
パントリーの扉を開けておけば、いろいろな道具が見えるので、背面にあるより作業がしやすいのです。
リノベーションの場合、大きなパントリーがとれない場合があります。そのときはこのようなプランにすれば、解決することがあるのです。