気温が下がりはじめ、今年も“鍋”のシーズンがやってきました。これからの季節、多くのご家庭で欠かせないものといえば鍋の調味料ですよね。最近ではバリエーションも増えたことで、気分や具材に合わせて味の選択もたくさん。
すべての画像を見る(全5枚)今回は、「プチッと鍋」や「なべしゃぶ」などといった鍋物調味料を数多く発売している、エバラ食品 商品開発部の坪根優子さんにお話を聞きました。
50年以上にわたって、食卓の強い味方となっている「エバラ食品」
料理の味を決める“調味料”。エバラ食品では現在、焼肉のたれのほか、生姜焼のたれや丼の素などの肉まわり調味料がなんと40種類以上も! さらに、これからのシーズンに大活躍の鍋物調味料が20種類以上あり、そのほかにも浅漬けの素などの野菜まわり調味料、横濱舶来亭シリーズ、韓Kitchenシリーズ、プチッとうどんシリーズなど多岐にわたる商品を発売しています。
●焼肉のたれ、鍋物調味料など幅広い商品の数々
エバラ食品が創業したのは1958年のこと。業務用のソースやケチャップなどの調味料の製造販売から始まりました。そこからラーメン、カレーなどの発売を経て1968年にあの「焼肉のたれ」が誕生。
「高度成長期、街に焼肉店が開店したことから『家庭でも食べられる“おいしいたれ”をつくれば、焼肉という新しい食習慣が普及する』という発想のもと、『焼肉のたれ』が開発されました。以降、エバラ=タレといったイメージがかなり根づいてきたと思います! また、そのあともたれ以外に浅漬けの素や、プチッと鍋やなべしゃぶなどの鍋物調味料が誕生しています」
この鍋物調味料は現在、肉まわり調味料に次ぐ売り上げに成長。多くの種類が発売し、その数は現在21種類ほどです。そのなかに“すき焼のたれ”も含まれているのですが、このすき焼のたれ。ちょっとした秘密があるんです。
●知らなかった!2種類の“すき焼のたれ”の秘密
現在発売されている「すき焼のたれ」は、黄色パッケージのレギュラーとオレンジ色のパッケージのマイルドという2商品。
「じつは関東と関西で味やパッケージが違うんです。関東風の黄色のパッケージのレギュラーは、わり下文化から、しょうゆベースになっています。一方、オレンジ色のパッケージが目印のマイルドという商品は、関西の、牛肉を砂糖としょうゆで焼いてつくることから、レギュラーに比べ砂糖が多めのものになっています。基本的には2本とも全国発売していますが、レギュラーは東日本、マイルドは西日本中心に販売されている傾向があります」
「つくり方の材料表記でも、“しらたき”と“糸こんにゃく”と表記の仕方が違ったり、よくみるとパッケージのすき焼きのイラストも異なっています。2019年に『すき焼のたれ』はリニューアルをしまして、横並びにすると湯気が繋がるようなパッケージになっていたりと、細部にまでこだわっています」
●「なべしゃぶ」のヒットは、味と手軽さにあり
ほかにも、昔からあるビンタイプのキムチ鍋、担々ごま鍋も根強い人気があるのだそう。そんななか、新たに人気を呼んでいるのが、香味油と酸味が特徴の2018年発売の「なべしゃぶ」です。「かんたん、うまい。ただそれだけ。」というフレーズもとても印象的。
「しゃぶしゃぶを食べるときはタレをつけますが、『なべしゃぶ』はつゆにお肉をくぐらせるだけで食材にしっかり味がからむので、つけだれいらずでいただけます。そのため、味はもちろんのこと、つけダレの食器がいらないので、洗い物の手間が少ないのもうれしいポイントです」
お肉をつゆにくぐらすだけでしっかり味をつけなければいけないことから、ドレッシングを考え方の起点としているそう。また、お肉とカット野菜を用意するだけで完成という手軽さなので、料理に手間や時間をかけなくていいというところも支持されている理由のひとつです。
「鍋は野菜がたくさん食べられるのが利点ですが、その準備が少し面倒な部分も…。しかし、カット野菜ならそのまま鍋に入れるだけですし、カット野菜は野菜の価格に影響を受けにくいというメリットもあります。簡単においしくしゃぶしゃぶが食べられて、後片づけもラク。それが『なべしゃぶ』なんです。あとは、2人分の小分けになっているのでお手軽にしゃぶしゃぶを楽しめるといった点も人気なのかと」(坪根さん)
「なべしゃぶ」をさらにおいしく食べるコツは「つゆを沸騰させすぎないこと」にあると坪根さんは続けます。
「鍋はグツグツ煮立たせるイメージがあると思うのですが、しゃぶしゃぶは煮立たせるとおいしさが落ちてしまいます。つゆがゆらゆらするくらいの温度でお肉をくぐらすことで、適度に脂を落とせて、お肉も硬くならずにおいしく食べられますよ」
たくさんの調味料を開発・発売してきたエバラ食品。そこには味のおいしさに加えて、時代のニーズに合わせた工夫とこだわりがたくさんつまっています。寒くなり始めたこの時季、あなたの“推し鍋”を見つけてみては?