コロナで貯まっている人、貯まっていない人はさまざま。生活様式が変わったことで、お金の管理の仕方に戸惑う人もいるはず。
今年ももう折り返し地点ということで、貯蓄力アップのために改めてやっておきたいことを、ファイナンシャルプランナーで節約アドバイザーの丸山晴美先生に教えてもらいました。
1年の折り返し地点。貯蓄力をUPするためにやるべき5つのこと
気づけばもうすぐ6月。早いもので2021年の折り返しとなります。6月は大型出費も比較的少なく、お金を整えやすいタイミングです。また、ボーナスでの清算のタイミングにもなります。この折り返しのタイミングをどのように動くかによって、後半の貯蓄力が大きく変わります。今回はこのタイミングにぜひやっておくべき5つのことをご紹介します。
●その1 目標を書き出す
ただなんとなく「100万円貯めたい」と目標をつくるよりも、「なんのために」「いくら貯めるか」といった具体的な夢や目標と金額を書き出し、それぞれの優先順位と、毎月の積み立て額とボーナス時に貯める金額を決めます。
その際に、優先順位が高いものから書き出すのではなく、まずは思いつく限りの夢や目標を書き出してから、順位をつけていくと簡単です。お金や家計は難しく考えすぎると、前に進みにくくなりがちなので、できるだけ簡単にすることが大切です。
●その2 家計と向き合う
お金がなかなか貯まらない家計の特徴として、毎月の出費に使途不明金が多く、ボーナスやクレジットカードの利用などで帳尻を合わせているケースがあります。つまり、その月に使える生活費を割り出すことが、お金が貯まる家計への第一歩なのです。
【向き合い方の手順の3ステップ】
◆ステップ1 お金の流れを紙に書き出す給与振り込み口座、口座引き落とし分やクレジットカード払いの明細を見ながら書いてみましょう。
・月の手取り収入
・家賃など毎月定額で支払う固定費の合計
・電気、ガス、水道、通信費といった金額に変動はあっても毎月支払うべきお金のおおよその合計金額
(B) ◆ステップ2 先取り貯蓄や投資額を書き出す・毎月の積み立てている貯蓄や貯蓄性のある保険や、積み立てながら投資をしている場合は、その合計金額
(C) ◆ステップ3 生活費を割り出しましょう毎月の収入から、(A)、(B)、(C)の合計を引いた金額が、その月に使える生活費です。
ここで算出された生活費で、食費や日用品、服や美容費、交際費、医療費などの出費をやりくりしていくと、無理なく貯められます。
●その3 先取り貯蓄をする
お金を貯めたいのであれば、給与やボーナスが生活費に回る前に貯蓄や投資に回すことが必須です。これら積み立てたお金は、始めからなかったものとして生活します。おすすめは、給与から天引きされてから振り込まれる、財形貯蓄、社内預金、持株会などです。これらの制度を実施しているか、総務部などに問い合わせしてみましょう。
このような制度が勤務先にない場合でも、給与振込口座から給料日に積立定期預金口座へ振り替えるように手続きをしましょう。取引銀行のアプリから申し込みができるので、あらかじめ、給与振込口座を持っている銀行のアプリを登録しておくとよいでしょう。
ほかにもiDeCo(個人型確定拠出年金)のように、運用先を自分で選ぶことができ、掛金は全額所得控除となり、所得税や住民税などが軽減される制度を利用しながら老後に備えるのも一案です。
貯蓄だけではなく、投資も組み込んでいくことも大切です。
【毎月の貯蓄や投資の目安は?】
毎月の先取り貯蓄の目安は、手取り月収の1~3割ですが、ほとんどお金を使わなくても生活できる方は、それ以上でももちろん大丈夫です。手取り月収の1割を先取り貯蓄に回すのが難しい場合にも、5000円、1万円でも、できる限り先取り貯蓄や投資をすることが大切です。
●その4 生活費を管理してやりくりする
毎月の固定費や公共料金は、口座引き落としやクレジットカード払いにして、あらかじめ引き落とし分を口座に入金しておきましょう。できるだけ現金で管理する費目は少なくするのがコツです。
生活費は、食費(外食費含む)と生活費、予備費の3つに分けます。
生活費の予算を、食費、日用品、美容費、交際費など細かく分けて管理する方法もありますが、手間がかかり、挫折の原因になるので、できるだけ簡単な方法をおすすめします。
【生活費のおすすめ管理方法】
食費と生活費のそれぞれ1か月の予算を5週に分けて、1週間の予算を守りながら生活をする。ただそれだけです。
たとえば、1か月の食費(外食費含む)が4万円、生活費が8万円なら、食費は1週間8000円×5週、生活費は16000円×5週でやりくりします。
これら5週に分けた予算は、毎週日曜日もしくは月曜日に予算を入れ替えて、前週の残金は繰り越しをせず、封筒などに入れて取り置きします。毎週一定額の予算でやりくりすることがコツです。
予備費は、どんな出費にもオールマイティーに使える予算です。2万円程度用意して、1か月で管理します。
たとえば、交際費がかさんでしまって、生活費がたりないというときに使える予算です。この予備費があることで、家計と心にゆとりを持つことができます。
【予算を守るコツ】
コロナ禍においては、キャッシュレス決済が推奨されていますが、しっかりと管理をするのなら、現金払いがおすすめです。キャッシュレス決済を使う場合は、利用分を現金で取り分けるなどの工夫が必要です。
また、予算内におさめるコツは、優先順位を考えながら購入の選択をすることで、無駄づかいを減らすことができるでしょう。そして、買い物の際は菓子パンやお菓子ひと袋を買うよりも、キャベツ1玉で何食分になるのか? など支払うお金が同じでも、より価値のあるものを選ぶようにすることで、予算を守りやすくなります。
●その5 家計を見直して整える
毎月の出費だけではなく、年会費がかかるクレジットカードやサービスなどを見直します。高くついていたスマホのプランを見直したり、より出費を減らせる方法を考えて、解約、変更をします。また、クレジットカードの引き落としがされると、その月の生活費がたりなくなり、たりない生活費をクレジットカード払いでしのぐ自転車操業状態になっているのであれば、夏のボーナスでリセットしてから、「その4」の生活費の中でやりくりをする仕組みをつくりましょう。もちろん、リボ払いになっている場合も、ボーナスや貯蓄を使って、できるだけ早期に完済するようにしましょう。
【まとめ】できるだけシンプルにお金と向き合いましょう
こららの5つの方法を実践することで、家計が整い、お金が貯まる仕組みをつくることができます。お金を貯めることに、難しい知識やテクニックはあまり必要ありません。難しく考えずに、できるだけシンプルな管理になるように整えることで、年末には着実に貯蓄が増えていることでしょう。もちろん、家計管理ややりくりだけではなく、あいた時間におこづかい稼ぎやアルバイトをするなど、収入を得る仕組みをつくることも、貯蓄力を上げる行動になります。
コロナでざっくり貯まっている人は増えているそうですが、そういった方もぜひ家計と向き合ってみてください。貯めどきを逃さず、管理しておくことで安心にもつながりますし、いざという出費にも余裕をもって対応できるはずです。