厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の平均年間収入は243万円。同じひとり親世帯でも、父子世帯では平均年間収入420万円と、大きな隔たりがあります。
母子家庭のおもな雇用形態は、半数以上がパート・アルバイトなどの非正規。子どもが小さくて時間の融通が利かず、フルタイム勤務が難しいという事情が伺えます。

世のなかのシングルマザーたちはどのように暮らしているのでしょうか。ここではESSE読者のリアルなエピソードと、専門家のアドバイスをお届けします。

シングルマザー
暴力夫から逃れ、生活保護をもらいながら、パートで働く日々(写真はイメージです)
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暴力夫から逃れ、生活保護をもらいながら、パートで働く日々

<高山千帆さん(仮名)プロフィール> 千葉県・35歳 年収 150万円 養育費 0円 3歳年上の夫と離婚。住宅扶助と医療扶助の生活保護を月額6万円、さらに児童手当と児童扶養手当をそれぞれ月額1万円受給中。貯蓄額は、コツコツ小銭貯金で貯めた数万円ほど

「もうこの人と一緒にいるのは無理!」とハッキリ自覚したのは、出産後間もなくです。
理由は夫の暴力。結婚前から、ささいなことでカッとしては、殴る蹴るの暴力をふるう人でした。それでも結婚したのは、おなかに赤ちゃんがいたから。夫婦になったら、父親になったら、変わってくれるかもしれないと、希望を託していました。でも、変わるどころか、むしろ暴力はエスカレートしていきました。 

●息子を溺愛する義母が、働かない息子をかばう

しかもろくに働かず、家にもお金を入れてくれなかった。息子を溺愛する義母が、働かない息子をかばって「じゃあ、あなたが働いて。赤ちゃんは私が見ていてあげるから」と。
それで私は産後2週間から、近所のコンビニでバイトをし、生活費を稼ぐしかなかったのです。まだ、産後の出血が治まっておらず、母乳があふれるほど出てくる出産直後のあの時期に、子どもと離れて一日じゅう立ちっ放し。あんなに辛かったことはありません。

あんなに辛かったことはありません
産後2週間から、近所のコンビニでバイトをし、生活費を稼ぐしかなかった

その状況に不満でも言おうものなら、殴る蹴るの暴行が始まるのです。離婚を口にしたときは、命の危険を感じるほどの目に遭わされました。あの男は死ぬまで変わらない。だから、私の方が出ていくことにしました。 

家を飛び出し、生後3か月の長男を連れて転がり込んだのは、母がひとりで暮らす実家。夫が鬼のような形相で私を探しにきたときも、「ここにはいない」と言いはって、母は私たちを守ってくれました。
暴力から逃れるには、シェルターに身を寄せるのがいちばん確かですが、入居の申請をし、あきが出るまでの間にどうしたって数か月かかってしまう。実家や友達の家に隠れながら、シェルターに入れるまで待ちました。

2か月ほど待ち、ようやくシェルターに入れたときは、心底ホッとしました。ただし…。