一生懸命説明しているはずなのに「話がわかりにくい」と言われてしまったことはありませんか?
うつ専門メンタルコーチで、さまざまな悩みを聞いてきた川本義巳さんは、「話がわかりにくい人には特徴があります。困っている人ほど、その傾向が強いです。わかりやすく話すには3つのポイントがあります」と語ります。
具体的に解説してもらいました。

女性2人が話す様子
話がわかりにくい人の特徴とは?

話がわかりにくい人の特徴。困っているときはとくに注意

相談業務を長年やっていると「この人の話はわかりやすいなあ」という人と「この人、なにを言いたいのかよくわからないなあ」という人がいることに気づきます。

話がわかりにくい人の特徴を挙げてみましょう。

・話があちこち飛ぶ
・時系列で話をしていない
・結局最後までなにをしたいのかがわからない
・「~だと思う」という仮定の話が多い

なにかに困っている人は、不安や焦りもあるので、この傾向がとても強いですが、相談支援する側としては、この状態で課題を解決するのはかなり手間がかかります。
そのため、傾聴や質問を通して相手の話を整理していく必要があるのですが、その手間がない方が相談はスムーズですし、解決に至る時間も短くなります。

また相談支援の場だけでなく、日常的にビジネスの場などにおいても、やはり話がわかりにくい人よりは、わかりやすい人の方が仕事も人間関係もうまくいきます。
おそらく夫婦間や友人知人の間においても同じです。

もちろん、「答えを求めない会話」というのもあります。おしゃべりとか雑談とかはそうですね。「話を聞いてほしい」というニーズも同様です。こういうときは、とくに気にせず話をすればいいと思いますが、相手に相談したいときや、お願いするときなど、相手が必ず答える必要がある会話は、わかりにくい話し方よりもわかりやすい話し方が心地いいですし、スムーズにいきます。

わかりやすい話し方のポイントは3つ

では、どうすれば「わかりやすい話し方」ができて、相談事やお願い事がスムーズに進むのでしょうか?
そのためのポイントを解説していきたいと思います。

(1) 「なにに困っているのか」を明らかにする

まず困りごとをはっきりさせましょう。これは「悩んでいる」「不安」といった気持ちの部分ではなくて、「外に出られない」「人に話しかけられない」といった、実際の動作で困っていることです。
人は「なにかできないことがあるから」困ります。気持ちの問題はできないことの結果や原因にされているものなので、直接的な問題ではありません。

(2) 「どうしたいのか?」を明らかにする

つまりゴールですね。自分はこの問題について、最終的にどうなっていればいいのか? という理想の姿です。
先ほどと同様、「気持ちが晴れやかになる」「自信がつく」といった気持ちの話ではなく、たとえば「外に出られる」「人に話しかけられる」といった具合に行動面で考えます。

ゴールはあくまでも理想の姿なので、当然ですができるできないが発生します。人は悩んでいるときに、できることとできないことを識別する能力が著しく低下します。ゴールを明確にすることで、この線引きが明確になるので、ここから「じゃあどうしていくのか? できることを続けるのか? できないことを克服するのか、やめるのか?」といった実践的な戦略を導き出すことが可能になっていきます。

(3) 「どうしてほしいのか?」を明らかにする

相談相手あるいは周りの人に、なにをサポートしてほしいのかを明確にしていきます。話がわかりにくい人は、ここがあいまいになっているケースがあります。
これは先ほどの「できることとできないことの識別」がうまくできていないために「なにを具体的にお願いすればいいのか」がよくわからなくなっているから起こる現象です。

言われた方(相談に乗ってる方)は、ここから自分ができることとできないこと明確にしていきます。そして「この部分はやってあげられるけど、こっちの部分はできない」とはっきりさせる必要があります。でないと「頼まれてもできないこと」について自分も悩んでしまうことになります。

これはメールや手紙でも同じです。

(1) 今こういうことで困っていて

(2) 最終的にはこうなりたいと思っていて

(3) そのためにこの部分を手伝ってほしい(教えてほしい)

という文脈で文章をつくると、相手に伝わりやすくなります。

ご紹介したとおり、ポイントは3つだけなのですが、これを知らないために行き違いや勘違いが生まれたり、相手に不快感を与えたりしてしまうこともありますので、ぜひともマスターしていただきたい内容です。
繰り返しにはなりますが、相談支援の仕事をしている人や、管理職にはマストなスキルだと思います。