もうすぐ、東日本大震災が起こった3月11日です。今年になってからも台風や地震、新型コロナウイルスなどで、もしものときへの意識が高まっています。
「持ち出し袋と備蓄は用途が違います。また、ものだけでなく『情報』も持ち出せるようにするのが大事です」というのは、ライフオーガナイザーの下村志保美さん。昨年台風で避難を体験したという、下村さんのご自宅の非常持ち出し袋を見せていただきました。
非常持ち出し袋は靴箱の中がベスト。口座や連絡先など「情報」も
すべての画像を見る(全9枚)自分が経験していない災害や避難生活では、なにをどれくらい持っていけばいいのか悩みます。あれもこれもとつめ込むといざというときに重くて持てなかったり、収納場所を忘れて取り出せなかったり…ということも。
●1.持ち出し袋と備蓄は用途が違います
まずは、とっさに持ち出す非常持ち出し袋と、災害が起こって食料や日用品の入手が困難になったり水道や電気ガスなどのインフラが止まってしまったりしたとき用の備蓄を分けて考えてみましょう。
持ち出し袋は避難することを前提にしていますから、それを持って災害の中を移動できる大きさ、重さであることがポイントです。
最低1人3日分と言われる水や食料を持って避難することは困難ですから、持ち出し袋には必要最低限のものだけにすることが必要です。
冒頭の写真が、わが家の非常持ち出し袋の中身です。
・水
・乾パン、ビスケットなどのすぐ食べられる食料
・カッパ
・ゴミ袋
・軍手
・ゴミ袋
・非常用トイレ
・使い捨ての下着(100円ショップ)
・手回しラジオ(スマートフォンの充電もできるもの)
ゴミ袋はあえて中身が見えないタイプのものを用意しています。
写真は夫用の非常持ち出し袋ですが、女性用のものであれば生理用品なども必要ですよね。
●2.情報の「非常持ち出し」も大切です
自宅が被災した場合、通帳や証券などがなくなってしまう可能性も。一覧にしたものを持っておけば安心です。
また家族の携帯電話番号は普段は覚えていたとしても非常時にとっさに思い出せない可能性もありますし、自分がケガなどで動けない場合、だれかに連絡してもらうことも考え、連絡先のリストをつくっています。
金融機関の一覧、連絡先一覧、そして災害伝言ダイヤルの使い方などをプリントアウトしたものと、公衆電話用の10円玉などをまとめて持ち出し袋に入れています。
●3.食品だけじゃない!電池の期限ぎれに注意
手回しで使えるラジオがあったとしても、乾電池で使えた方がラクですよね。ご存知のように、食品などと同じように乾電池にも使用期限があります。
期限がきれた電池は液漏れなどを起こすと、その機器自体が使えなくなることも。なので、電池の期限もチェックする必要があります。
そういうことを考えると非常持ち出し袋にセットしておく懐中電灯やラジオなどは、「単三」や「単四」など同じ種類の電池が使えるものを選んでおくと、用意する手間がラクになります。
今回私も見直してみたら期限が2014年というものが出てきました。
ほかには使い捨てカイロ、除菌アルコール、ウエットティッシュなども期限ぎれだと役に立たなくなってしまうので注意が必要です。
●非常持ち出し袋は玄関に置いています
さて現代の住宅事情で頭を悩ませるのは非常持ち出し袋を置く場所です。
すぐに持ち出したいから出入り口近くにおきたいけれど、そんなスペースがないという方も多いと思います。
私は靴箱を整理し、本来は傘を入れるであろうスペースに夫と私の持ち出し袋を入れました。
玄関の一等地にほぼ使わないものを入れるのはもったいないように思えますが、非常時にすぐ持ち出せること、家族全員がこの袋の場所がわかること、この2点を考えるとやはりここがベストです。
●非常時に使えなければ意味がない
非常持ち出し袋をつくらなくてはいけない、というのは今の時代皆が感じていること。
ですが、非常持ち出し袋をつくることが目的になってしまって、つくりっぱなしでは意味がありません。
なんのために非常持ち出し袋をつくるのか、そう考えると定期的な見直しが必要ですね。東日本大震災の3月11日や、防災の日の9月1日など決めて、毎年同じタイミングで見直してみてはいかがでしょうか?