姑が家族のテンションを下げるマイナス思考な発言ばかりするときは、どのように対応すればいいのでしょうか。きっと言い返すことも、指摘することも、難しいはず。
漫画家、エッセイストの瀧波ユカリさんに、読者から実際に寄せられたお悩みをズバリ解決してもらいました。
マイナス思考な姑には、「ネガティブキャラ」扱いをして、笑いに転換
【お悩み】姑のマイナス思考な発言に嫌気がさしています
すべての画像を見る(全2枚)近所に住んでいる姑がマイナス思考で、イヤなことばかり言います。たとえば、「娘がリレーで1位だったんです」と話すと、「そんなの普通よ!」と答えたり、誕生日に食事に連れて行ったら、「あんまりおいしくなかった」などといった具合。たまに夫と姑が親子ゲンカになり、姑が怒りだして止まらなくなる様子を見ているので、私は言い返すこともできませんし、会うたびにブルーな気持ちになります。笑って流さずに、たまにははっきり言えたらと思っています。(東京都・34歳夫36歳、長女10歳、長男8歳、二男4歳)
<瀧波さんからのアドバイス>「笑って流す」は、賢くてベストな対応。でも、たまには軽く「いじり」で返してみては
懐かしい! このマイナス思考、私の亡き母もそういう傾向がある人でした。へそ曲がりというかあまのじゃくというか、とにかくストレートには受け取らないんですよね。そういうひねくれっぷりはどこから来るのか? 恐らく、根っこにあるのは世界に対する不信感と、自分に対する自信のなさです。お姑さんにとって、この世界は「信じてはならないもの」だけでできていて、未来にはいいことなんてひとつも待っていないし、家族だっていつ裏ぎるかわからない、そんなふうに見えているんじゃないでしょうか。
あまり尊重されずぞんざいに扱われたり、裏ぎられるような経験をたくさんしてきたりしたのかもしれません。人から大切にされた経験が少ないから自信がない。自信がないから、優しくされても「どうせ本心じゃないんだろう」と疑って突き放してしまう。でも、本当は人一倍大切にされたい気持ちがあるから、ちょっとしたことで不満を感じて怒ったりすねたりする。そういう態度で周りを試しているふしもありそうです。
もし単なる友達同士なら、「そんな態度じゃ嫌われるよ」「ネガティブや不機嫌をまき散らすのやめたら?」って言えるけど、嫁姑(この言い方は好きじゃないですが)の関係では難しいし、素直に聞いてもらえそうもないですよね。だから今あなたがしている「笑って流す」は、とても賢くてベストな対応であるように思います。
でもたまにははっきり言いたい、そんな気持ちを晴らす方法がないわけではありません。それは、お姑さんを「ネガティブキャラ」として軽く「いじる」ことです。たとえば、誕生日に食事に連れて行ってもらったのに「そんなにおいしくない」って言えるのってある意味すごいことですよね。そこをあえておもしろがって拾っていく。「またお母さんったら、毒吐いてる!」「さすが、ネガティブの女王!」「こういうときにそんなこと言うなんて、やっぱりお母さんっておもしろいなあ」「その素直じゃなさが、逆にかわいい!」など。
そうすると、多分彼女は「なによ、馬鹿にして」って憮ぶ然ぜんとしつつも、自分のネガティブな一言に家族みんなが大受けしているのはまんざらでもない…って気持ちになると思うんですよね。あれ? 私なにかおもしろいこと言った?みたいな。しょっちゅうやると「いじりすぎ」になっちゃいそうですが、たまになら「おいしい」感じになりそうだし、あなたやダンナさんにとってもちょうどいい発散になると思います。うまく拾って、愛のある感じでいじってあげてくださいね!
【瀧波ユカリさん】
1980年、北海道生まれ。漫画家、エッセイスト。アニメ化もされた『臨死!! 江古田ちゃん』(講談社刊)でデビュー。著書に『
30と40のあいだ』(幻冬舎刊)『
ありがとうって言えたなら』(文藝春秋刊)など