近くに頼れる人がおらず、育児中の親が孤立してしまうことで強い不安にさらされる「アウェイ育児」の問題が表面化しています。結婚や出産によって、慣れ親しんだ土地から離れて子育てをすることになってしまうというケースは昔からありましたが、なぜ今になってこの言葉が注目を浴びているのでしょうか?
ESSE読者にアンケートをとり、アウェイ育児の実態を調査してみました。
転勤族の妻たちを悩ませる「アウェイ育児」の孤独
20代~40代までの読者290人のなかで、アウェイ育児の経験が「ある」もしくは「なりそう」と答えた人は、91人と全体の30%以上もいることが判明。見知らぬ土地での子育てを余儀なくされた原因のほとんどが「夫の転勤」によるものでした。
●繰り返される転勤!人間関係も地域の情報も、全部リセット…
「夫の転勤地で結婚出産。子どもが2歳のときにまた転勤。その1年後にはまた別の転勤地へ…。近くに友達がいなくて、赤ちゃんと2人きり生活。話す相手もいなくて孤独でした」(37歳・アルバイト)
「夫が転勤族なので、常に家族帯同で動いています。信頼できる人、できない人の見極め、イチからの人間関係構築に悩んでいます。あと子どもの幼稚園及び小学校の情報も」(38歳・主婦)
土地勘のない場所で新しい生活を整えるだけでも大変ですが、転勤が繰り返される場合には、せっかく積み上げた人間関係や地域の情報がその都度リセットされてしまうのが辛いところ。とくに子育てでは病院や学校などの評判は、細やかな口コミを重視したいという声も多かったです。
●入学金6万円が無駄に…
「10年で県をまたぐ引っ越しが7回もありました。子どもを預ける場所がわからず、市のサポートに電話をしてみたら、『そんなことで悩んでいるんですか?』とバカにされてしまいました…。定期検診のハガキが来ても、場所が分からず。せっかく入園した幼稚園は、1か月で転校せざるを得なくなって入学金6万が無駄になりました」(37歳・アルバイト)
多くの場合、転勤にかかる費用は会社が負担してくれますが、子どもの教育に関する費用は規定によってまちまち。そして「子どもを預ける場所がわからない」という悩みは、緊急時の不安感をより増幅させてしまいます。
●一時保育もプラチナチケット並みの争奪戦…
「転勤族なので、ずっとアウェイ育児です。保育園に預けても、熱を出したときなど頼れる人がいなくて大変でした」(49歳・アルバイト)
「子どもを預けられる人がいなく、一時保育もプラチナチケット並みの争奪戦。急に体調を崩したり、用事があるとき本当に困りました。近所に友人もいなかったので話をする人もいなく、悶々としていたことを思い出しました」(40歳・自営業)
地域によって差はあるものの、やはり緊急時ですら子どもを預ける場所がないというのは、解決の糸口が見えない根深い問題といえます。さらに縁もゆかりもない場所で、ひとりぼっち…。この寂しさは、どのように乗り越ればいいのでしょうか。
妻のピンチに明暗…!アウェイで試される夫婦の絆。解決策はあるの?
「アウェイ育児」では、会社というコミュニティがある夫よりも、妻が孤独を感じてしまうケースのほうが多いようです。
●困っている状況を夫に相談してみたら…
「第二子妊娠、出産と同時に『育児がますます苦しい~』と思うようになり、夫と話す時間を設けました。朝の着替えや食事、夜ご飯やお風呂、寝かしつけなど、できる範囲で手伝ってくれるようになりました」(38歳・主婦)
「頼れる人が夫だけだったので、常にいろいろ相談し合いました。幸い、夫の職場は融通をきかせてくれて、私が体調を崩したときは、子どもたちの送迎も仕事中に抜け出したりして対応してくれました」(47歳・主婦)
困っている内容を具体的に相談し、妻の負担もだいぶ和らいだというエピソードもある一方、あまり状況が変わらなかったという人も。
●他人事のような反応をする夫…
「仕事で不在がちの夫に相談しても『大変だな』の一言。絶対忘れません!!!」(31歳・主婦)
「夫は私が39度の熱があってもおむつも替えないし、お皿ひとつ洗ってくれない人だったのであまり役に立ちませんでした」(48歳・主婦)
「相談したけど『調べてみれば?』とか『大変だね』くらいで、相談する意味もなかった」(40歳・主婦)
●アウェイの環境で妻をさらに追い込むワンオペ育児
「夫は残業三昧でワンオペ育児でした。ファミリーサポートを利用してみたものの、担当になったおじいさんの口調が強く合わず…。お断りしても家に来るなど恐怖を覚えてやめました」(31歳・アルバイト)
子育てにおいて夫の協力を得られない場合、有料のサービスを利用する手段もありますが、いい担当者に巡り合える保証もありません。ちょっと怖いエピソードですね。
●仕事と子育て、比較できないからこそ難しい
「家を買った後に、夫が単身赴任。義両親が千葉なので頼れる前提で家を買ったのに、協力拒否。子どもを預けることができず、やりがいを感じていた仕事を諦めなければならなくなり、関係がさらに悪化しています。転勤族だから仕方ないよね。文句言うなら一緒に住む? (地方)という姿勢。相談しても無駄だと思いました」(41歳・自営業)
「『だれも知ってる人がいなくて毎日だれとも話さなくてつらい』と主人に話したら『俺だって知らない場所で慣れない仕事をしてる』って言われました。悲しすぎて涙が止まりませんでした」(36歳・自営業)
仕事と子育て、どちらが大事なのかと比較できる問題ではありませんが、そもそも話し合いの場を設けることすら難しかったという体験談も寄せられています。