平成から令和になり、消費税が10%になり…とまさに時代が変わっていくことを実感した2019年。私たち一般消費者はなにを買い、なにに心を動かされたのでしょうか。
キーワードは「60代」「駆け込み」「サステナビリティ」など。じつは60代のフリマアプリユーザーが激増しているなど、意外な事情をレポートします。
2019年に売れたものには「理由」があった!そして2020年に売れそうなものは?
「楽天市場」「ラクマ」「楽天ブックス」「楽天トラベル」などさまざまなEC事業を展開する楽天が行った、2019年の消費動向をまとめた発表会を取材。
楽天が膨大な購買・予約データから分析した2019年ヒット番付から、とくにESSEonline読者に関係ある項目をお届けします。
●60代は趣味と食にお金をかける!
令和元年の消費を動かすキーワードとして挙がったのが「60代のアクティブ消費」です。
すべての画像を見る(全15枚)そのひとつは趣味の再燃。今の60年代はバブル期を体験した世代。当時を思い出しながらギターやバイクなどの趣味を再び始める消費行動が見られます。
オートパーツやペン習字も人気なのだとか。
また食にこだわり、CtoCで農家から直接、規格外のミカンや野菜を購入。
お米の食べ比べセットもよく購入されているそうです。
フリマアプリにおいて、60代以上のシニアユーザーは3年間で30倍以上に増加。ますます消費活動における60代の存在感が増すことが予想されます。
●スニーカーに26万円!20代は自分の価値を高めるものにお金を使う
2019年、60代とともに目立った消費活動をしたのが20代。こちらは「投資消費」と名づけられていました。
そのひとつがオーダーメイドスーツに代表される高付加価値ファッション。物欲が少なくものを買わないといわれる若者世代ですが、自分自身の価値を高める上質なアイテムには投資を惜しみません。
また、美容家電やエステの予約も目立ちました。自分の将来に投資する20代が増えています。
価値があると認めたものには、中古商品であってもお金を使います。
定価2万7000円のレアなスニーカーがフリマでは26万円と高騰。自分を承認してほしい欲求が消費活動に現れています。
●増税前の駆け込み消費はやはりあった!
9月の時点では増税きっかけの駆け込み消費はないのではと言われていましたが、やはり潜在的な需要はあったようです。
楽天では4Kテレビや自動車教習所のチケット、リフォームの注文が集中。高額な美容家電やキッチン家電もこのタイミングで購入に踏みきった人も多いようです。
大型冷蔵庫と保存容器の売り上げも伸び、増税後に外食を避けて自炊や中食を増やすための下準備をしていると分析できます。
ポイント還元に期待してキャッシュレスへの関心も高まり、キャッシュレス関連本が売れました。
●令和元年ならではの消費活動も
4月に当時の天皇皇后両陛下が伊勢神宮にご参拝。伊勢方面への旅行や御朱印帳がヒットしています。
改元にちなんだ婚姻届けや、令和の典拠となった万葉集も売れ続けています。
●日常での「サステナビリティ」を意識した消費も
レジ袋の有料化をきっかけとしたレジカゴバッグや、再配達削減のための宅配ボックスなど、日常生活で環境問題に関わることができるアイテムも。
「滞在2日目のシーツを換えない」「歯ブラシなどを持参する」などの条件で安くなるホテルの「エコプラン」も伸びました。
ほかにも、水をきれいにするシャワーヘッドやマイストローなど、エコでサステナブルなアイテムに注目が集まっています。
●プログラミングに英語…教育にもますます力が入ります
教育関係の消費活動で目立ったのは「教育改革への先回り消費」。小学校教育に導入されるプログラミング学習を先取りするような玩具が売れています。
英語教育にも熱視線が。早い段階で英語に触れることができる絵本や、英検の教材、リビング学習を助ける子ども用机などのアイテムが伸びました。
●2020年の消費はどうなる?ヒット予測!
2020年はオリンピックに対する「裏スポーツ需要」が見込まれています。
たとえば通勤への影響を回避するためにリモートワークが進み、モバイルPCやWi-Fiルーターの利用が拡大するのではとみられています。
東京在住者が東京を脱出して国内旅行するのではという予測も。
自宅でスポーツ観戦をする人向けには、手がかからず献立が完成するミールキットなど。
また、オリンピックをきっかけにVRゴーグルやAI家電など、次世代テクノロジーの広がりが見込まれています。
このなかに2019年、あなたが買ったものはあったでしょうか?
社会的なトレンドや背景を知ると、私たちがなんとなく買っているものにも、買うだけの理由があるのだなと気づかされます。自分の購入履歴を見て、購入動機を思い出してみるのも楽しいのではないでしょうか。
<撮影・取材・文/福村美由紀>