50歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した長男・うーちゃん、里子の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回は、うーちゃんが最近どハマりしているトランプのお話。
負けて泣く!勝って嫌味!勝負の世界に足を踏み入れたうーちゃんは…。
うーちゃんがマクドナルドでもらったトランプで遊びたがっていました。いままでこのようにまとまったカード、カルタなどをもらってもすぐになくしたり、部屋を散らかすだけだったので、今回もどうせなくしてそのうちゴミになるだろうと予想しました。でも、あまりにやりたがるので、とりあえずルールが簡単で遊びやすいものをと、妻と3人で神経衰弱をやることに。
すべての画像を見る(全4枚)最初にしっかりとルールを説明しても、めくったカードを元に戻さない、順番を無視してめくろうとする、3枚めくるなど傍若無人な遊びっぷりだったので、厳しく違反を指摘しました。
うーちゃんは闇雲にカードをめくるばかりで、めくったカードをまったく覚えようとせず全然カードを取ることができません。ビリで負けて「うわー!」と声の限りに叫んで泣き出しました。両目からはポロポロと玉の涙がこぼれてきます。それなのになぜか何度もやりたがります。
「いいか、うーちゃんこうして角のところからめくってその番号を覚えるといいんだよ。がんばれば、すぐ強くなるよ」
「がんばらないでつよくなりたい」
『ちびまる子ちゃん』なら「まる子よ、そんなうまい話はないぞ」とナレーションが入るようなことを言いました。
すると、3日目くらいから急に強くなってルールも守り、よく覚えてだれよりも強くなってしまいました。運も味方して初めてめくるカードがそろっていることもよくあります。「パパはまだとってないね」と嬉々として嫌味を言うので、「オレは負けても泣かねえよ」と言い返しました。
ぼくは記憶力が非常に劣化しているので、全然覚えることができずもう歯が立ちません。角や端のカードはまだいくらか覚えられるのですが、中央に並べられたカードはめくりを戻した途端、なにがなんだかまったく記憶から消えてしまいます。
最近は神経衰弱以外にもババ抜きを始めました。うーちゃんは手が小さくてカードをうまく隠せず、手元のカードが周りに見えてしまいます。それをなるべく見ないように、フェアネスの精神を自分の中で保ち続けることにもっとも苦労しています。
ある日の夜のことです。
「じゃあ寝る前にパパの部屋でシンカリオン1本だけ見るか?」(※編集部注『新幹線変形ロボ シンカリオン』)
「トランプがいい」
なんと!! シンカリオンがトランプに負ける日が来るとは驚きました。頭を使うのはとてもいいことだし、数字にも強くなりそうなので大歓迎です。
【古泉智浩さん】
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ
『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ
『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(
@koizumi69)をチェック!