クリスマスパーティや会食などで本格的なディナーに招かれたとき、「マナーには自信があります!」と言いきれる人は少ないのではないでしょうか。

食の総合コンサルタントでマナーに詳しい小倉朋子さんによると、いちばん大事なのは、細かい作法よりも、大原則だそう。
ESSE ONLINEライターのルミコ・ハーモニーさんが、小倉さんが登壇したイベント「美しいマナーで、楽しいクリスマスディナー」を取材し、知っておきたいマナーについてレポートしてくれました。

テーブルマナー
相手に好印象をもたれるテーブルマナーを学ぼう
すべての画像を見る(全2枚)

細かい作法をがんばって覚えるよりも、感謝の気持ちを大切にしよう

「細かい作法があっても急にすべて習得するのは難しいので、まずは大原則を理解しましょう」と小倉さん。その大原則とは、感謝の気持ちです。

「その食事が成立するためには、種をつくる人から、食器をつくる人、そして料理をつくる人や、目の前に一緒に食する人など、多くの人によってなされています。ですから、”すべてのことにありがとう”を意識するのがマナーの大原則。感謝の気持ちがあれば、自分主体の恥ずかしい所作にはならないはずです」

さらに、小倉さんが掲げる「食事七則」を教えてもらいました。

●その1 フェイス・トゥ・フェイスの法則:顔を上げるだけで気配り上手になれる

食事はみんなが楽しい時間を過ごせることが大目的なので、粗相がないようにと料理を食べることに集中して、会話を楽しめないのは本末転倒。

「顔を上げて同じテープルの人を見渡せば、会話も弾みますし、グラスがあいてるな~など気がつくことも多いです」

●その2 指先フォーカスの法則:指先には自分の心の表情が見える

会話しているときは、じつは無意識に相手の指先を見て話すことが多いそう。

「つまりは、自分の指先も見られていることが多いということ。ナイフを持つ人差し指が反り返るくらい力を入れるのではなく、リラックスしましょう」

●その3 ひと口サイズの法則:一口一寸を意識すれば会話のリズムが乱れない

マナーにおいて、会話はとても大切なこととされています。もし大きな食べ物のかけらを口に入れると、話しかけられてもモゴモゴしてしまい、会話が中断してしまいます。
そんな事態を避けるため、和食では、おかずのサイズは3cm以内が理想とされているそう。幕の内弁当や、昔からの寿司屋で小ぶりなのはそういう配慮からなんですね。

●その4 自分ベクトルの法則:会話は外向き、刃は内向き

楽しい時間を過ごすことが大目的なので、食事をしながら会話を楽しみましょう。

「ナイフやフォークは先が尖っているので、使用する際には振り回したり、隣の人に刃を向けないよう配慮しましょう」

●その5 ノイズキャンセルの法則:五感を邪魔する周囲へのあらゆるノイズをカット

日本のそばをすする以外、テーブルマナーでは、食事の音はタブーとされています。

「スープやソースをスプーンでかき集める音も、非常に耳障りです。ましてやスープやパスタをすする音は非常に耳につきますので、ゆっくり少量で音が出ないように注意しましょう」

食事を食べる際に香水がきついと、それも一種のノイズになります。食事を楽しむにあたってノイズになることは、極力排除しましょう。

●その6 絶景キープの法則:料理の姿を尊重し、盛りつけの美しさを守る

手の込んだ料理は、サーブされたときに「わあ!」と歓声が上がるような、美しい盛りつけが多いもの。極力その絶景をキープしながら食べていけるのが理想です。

「たとえばショートケーキの場合は、鋭角から食していき、イチゴに辿り着いてからやっとイチゴをいただきます」

好きなものだから先に食べる、あとに食べる…ではなく、見栄えを意識しながら食べすすめることが大事です。

●その7 エンディング美の法則:食後の器にはあなたの品格が残る

骨つき肉や、魚の骨などは、取り除いたら、お皿の脇に寄せましょう。

フランスの晩餐会が垣間見れる映画

食事の場において大切なのは、感謝しながら、自分も相手も楽しむということ。マナーはそのための方法です。逆にマナーにこだわりすぎると、思わぬトラブルが巻き起こることも…。

テーブルマナー

今月公開される映画『マダムのおかしな晩餐会』は、パリの上流社会で、晩餐会をめぐって繰り広げられるドタバタを描いた作品。

出席者が不吉な13人になってしまったことから、大慌てでスペイン人メイドを“ミステリアスなレディ”に仕立て上げ、晩餐会の席に座らせます。それがきっかけで大騒動に…。

この映画で描かれているのは極端な例ですが、見栄をはったり、かしこまったりしすぎず、リラックスしてディナーを楽しみたいですね。

『マダムのおかしな晩餐会』

11月30日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:キノフィルムズ
(C)2016 / LGM CINEMA - STUDIOCANAL - PM - Tous Droits Reserves