共働き世帯が年々増えています。同時に、家事を分担したい母親に対し、夫と子どもが非協力的…という悩みがよく聞かれるようになりました。
ライフオーガナイザーの香村薫さんは、共働きで子どもがおり、忙しい毎日を送っています。
「今でこそ家事シェアがうまくいくようになりましたが、当初は失敗も多かった」と語る香村さんに、実際にやってみてよかったこと、失敗だったことを教えてもらいました。
家事シェアのNGワードは「とりあえず〇〇だけやってくれればいいから」
「家族に家事を頼むときに『とりあえず〇〇だけやってくれればいいから!』と頼んでいたことがありましたが、これは失敗のもとでした」
と香村さんは語ります。
「こんな頼み方をするときの本心は、『本当は全部やってほしいけど、状況によってやり方が違うから頼みにくいな。この部分だけ頼もう』だったんです」
結果、最初は頼んだことだけやってくれたらいいと思っていたのに、いざやってもらうと「どうせならこれもやってくれればいいのに、気がきかない」と思ったり、「なんで頼んだことすらやってくれないの?」とイライラしたり…。
「逆に夫からは『聞いていた話と違うじゃないか! もう2度とやりたくない!』と言われることも。最後は言った言わないのケンカに発展…とにかくこれは失敗でした」
●やることをイラストにして見える化する
そこで次に考えたのが、やることをイラスト化する方法。
「イラストにして説明すると、もしこんな状況だったらこうしてほしい、ということが伝えやすく、頼まれた方もイメージができて理解が早かったです」
イラストにするときは、「これくらいはわかるだろう」は禁物。小学生に教えるように細かく書いておいた方がお互いのためです。
「イラストにして頼んだことがスムーズにいくと、次からも頼みやすくなりました。とくに子どもの幼稚園の送迎でお願いしたいことをイラストにしたところ、成功」
●苦手な家事は家電に頼ってOK
家事のジャンルを夫婦で分担するというのも失敗のもとだったそう。
「たとえば、料理は妻、洗濯は夫など。こういう分け方をすると、どちらかがいないときに特定の家事が回らなくなるという弱点があったんです」
それに分担といっても、人によって好きな家事と苦手な家事があります。
「たいていの場合、料理や買い出しなどのクリエイティブな家事は楽しくできるので好きな人が多く、逆に洗いものなどの後始末的な家事は敬遠されがち。これは男女どちらでも同じことだと思います」
自分が苦手な家事は、家族全員が苦手だということに気づいた香村さん。そこで香村家は、全員が苦手な家事は思いきって家電に頼ることに。
なかでもいちばんに導入されたのが、ドラム式洗濯乾燥機です。
「家族全員に聞いた結果、洗濯物を干す、洗濯物を取りこむという家事が好きだ! という人は、1人もいませんでした(笑)。なので、すべての洗濯乾燥を家電にまかせることに決めました」
●家事の担当者を決めない
とくにみんなが苦手意識をもっていた洗濯は、担当者を決めないのも香村家流。
夜、最後にお風呂から出た人と、朝、最後に家を出る人が洗濯機のスイッチを入れるルールにしたところ、「自分が担当者になるかもしれない」と、1人1人に当事者意識も生まれたそうです。
「操作方法をみんなに教えてくれる役は夫が担当。男性は家電が好きな人が多いですが、夫もその1人でした。好きなものを買っていいよ、と声をかけると喜んで操作方法を覚え、みんなに教えてくれました」
今は、無理に頼んで家事をシェアするのではなく、家族が自然と家事シェアできる暮らしができている香村家。
「壁にぶつかることもありますが、わが家なりに乗り越えられたかなと思っています。ご家庭内の『暮らし方改革』のきっかけになればうれしいです」
それぞれの家庭に合った「家事シェア」、ぜひ見つけてみてください。