ひと言で「美容」といっても、その内容はメイクやダイエットと幅広く、「キレイになりたいけれど、一体なにから手をつけていいものか…」と、途方に暮れてしまいます。

「どんなテクニックよりも、どうしてキレイになりたいのか、その本質を知ることが重要です」と、話すのは、雑誌の美容エディターの梅野利奈さん。
本質を知ったうえでの必要な美容とはどういうことなのか、外資系経営コンサルティング会社での勤務経験にヒントを得たと言います。

美容
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美容は「どう見られたいか」をかなえるための手段。まず目標設定を

「『美容は自分のためのもの』『自分のためにキレイになろう』。このようなフレーズ、よく目にしませんか? これらの表現に違和感を覚えます」と話す梅野さん。梅野さんの考える「本当に必要な美容」とはなにか、教えていただきました。

●美容は自分のため?いいえ、他人のためです

私たちは鏡がないと、自分の外見を確かめることはできません。「太って服が入らない」などの大きな影響がない限りは、今日はどんな化粧をしているかなんて、自分自身では確かめようがないですよね。

では、どうして私たちは美容を自分のため、と感じるのでしょうか?

それは美容によって、他人の反応が変わることを知っているから。
たとえば、「キレイに着飾っていると、他人の反応がいい」「化粧をすることで、他人の対応が変わる」ということを知っているから、私たちはよりよいフィードバックをもらうために、美容が必要だと感じます。
「自分のため」は結果論に過ぎず、自分の外見を目にする他人のための行為が美容である、と考えられるのです。

「いい香りのバスソルトでマッサージしていると気持ちがいい」「かわいい見た目のコスメを使うと気分がアガる」など、趣味としての美容はもちろんあると思いますが、効率的にキレイになりたいのであれば、キレイというフィードバックをくれる他人の目線から考えて、必要なものを割り出す必要があります。

美容は他人のため

●3つのステップで「自分に必要な美容」を知る

とはいえ、「それでは、他人の目線を念頭において考えてみてください。あなたに本当な美容とはなんですか?」と、言われても難しいもの。
これを知るために、以下の3つのプロセスで考えていきましょう。

(1)【目標設定】だれから、どういう女性だと思われたいのか
(2)【現状確認】今の自分の印象はどうか
(3)【課題の割り出し】目標に達するために、たりないものはなにか

たとえば、子どもの学校行事の際、ほかの保護者から「優しそうで家庭的なお母さん」だと思われたいとします。
次に、現状確認。仕事帰りで参加することが多いため、パンツスーツでひっつめ髪、化粧もちょっとキツめにしていることが多く、「サバサバしたお母さん」という印象の方が強いかも…という分析ができました。
すると、「ファッションを変えること」「やわらかい印象のヘア&メイク」が、今の自分に必要なものだということがわかります。

このプロセスは、外資系経営コンサルティング会社での課題解決の考え方にヒントを得たものです。
ビジネスでも美容でも、方法は同じ。目標から逆算していくのです。

●「なんとなく美容」はもうおしまいにしましょう!

このように考えると、単純なように思えますが、じつはほとんどの人ができていないのです。
今着ている服はなんとなく合わせやすいから着ているもので、メイクはとりあえず眉毛とリップだけ。ヘアは美容院におまかせ…。というように、目標設定もなく、日常に流された「なんとなく美容」だけを行っている人が圧倒的に多い印象です。

その服や、そのヘアメイクは、目標を達成するために本当にふさわしいものですか?

なんとなく美容

「求める外見」は、人によって違うからこそ、「必要な美容」もひとりひとり違います。
いくら時短メイクのテクニックをマスターしたところで、本当になりたい自分に近づけていなければ、意味がありません。

自分に必要な美容を知っているのは、ほかでもない自分自身。テクニックを知る前に、まずはどんな自分になりたいのか、今の自分はどういう印象なのか…と、ゆっくりと考えてみてもいいのではないでしょうか。