東京オリンピックを前に宿泊施設の不足が懸念されている昨今、なにかと話題の民泊。その関連で、「Airbnb(エアービーアンドビー)」というサイトの名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
Airbnbでは、部屋を貸したいホスト(物件のオーナー)と部屋を借りたいゲスト(旅行者)がつながっています。簡単に言えば、Airbnbのサイトを利用することで、さまざまな国や地域の「あいている部屋や家」を予約することができるというわけ。その使い勝手は、ホテルの予約サイトに似ています。
Airbnbを通じた民泊とは、はたしてどのようなものなのでしょうか? 50か国・200都市を超える海外旅行の経験をもつトラベルライターの朝岡真梨さんが、メリットとデメリットを検証。アメリカ旅行で民泊をした実体験を語ってくれました。
アメリカで1週間の民泊体験!メリットとは?
3月上旬、ロサンゼルスで1週間の民泊を体験してきました。静かな住宅地にある、アメリカの一般的なアパートの1LDKタイプのお部屋です。一般的なホテルでの滞在に比べてよかったところをまとめました。
●ホテルにはない生活のしやすさと快適さ!
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1LDKのバスタブつきのお部屋は、サイトの写真で見ていたとおりの落ち着きのある雰囲気。もちろんホストにもよるかと思いますが、洗面台やお風呂場のアメニティが、ホテル以上に充実していました!
ばんそうこうや消毒液といった救急グッズまでしっかり完備。
●自炊して、アメリカでの暮らしを疑似体験
ちなみにキッチンには、日本でいえば業務用サイズの冷蔵庫や2段式のガスオーブン、また料理に必要な調味料や道具などがそろっていました。
立派なキッチンもあるので、楽しく自炊してみることに。地元のスーパーの食品売り場を歩いているだけでも、異国の食文化を体感できます。日本では見かけない大きなロブスターをグリルして、アメリカならではの食事を体験! 自分の家にいるみたいに落ち着く、ホテルにはない不思議な安心感に包まれた滞在になりました。
●事前にホストが現地の情報をたくさん教えてくれた!
Airbnbを通じてホストから「移動はLyft(リフト ※スマートフォンアプリで一般のドライバーとマッチングできる配車サービス)を使うといいよ。タクシーの半額だからね!」とメッセージが。ほかにもおいしいレストランなどガイドブックに載っていないようなローカル情報もたくさん教えてくれ、現地の滞在中にとても役に立ちました。
海外での民泊にはこんなデメリットもあった!
もちろんいいことづくめではありません。民泊は「自分でなんとかする」のが基本のようです。
●掃除やベッドメイキングなどは基本ついていない
民泊だと、お部屋の掃除やベッドメイキングなどは基本ついていません。身の回りのことは自分でしなければなりません。ちなみに今回の部屋には、タオルなどは滞在中に必要な枚数が十分にそろっていました。
●意外!?値段が安いわけではない
なんとなく「民泊は安い!」というイメージをもっていたのですが、今回宿泊したケースに限って言うと同じエリアのホテルと、それほど差はありませんでした。
「ひとりいくら」という料金設定が一般的な日本とは違い、海外のホテルは「ひと部屋いくら」の価格設定が多いので、たとえば夫婦やカップル2人での宿泊の際のおトク感は、日本よりも薄れるような気がします。
●トラブルへの対応はホストによってさまざま
私の滞在していたアパート(集合住宅のことですが、日本のいわゆるアパートとは別物です)は築100年! 部屋はとてもきれいにリフォームされていたのですが、家電をたくさん動かしているとすぐにブレーカーが落ちるのです。
事前のレビューなどをよく読み込んでおけば、気づけたはず…。ホストからはすぐにブレーカーを上げる方法についてお返事がありました。しかしホストによってはすぐにお返事をくれず、自分で対処しなければならないケースもあるかと思います。
Airbnbで予約するときの注意ポイント!スーパーホストに注目を
海外旅行での民泊のメリットとデメリットをご説明しましたが、民泊の最大の魅力は、外国の人の文化や生活を自分自身で体感できるところ! リアルな部屋で過ごすことで、滞在先に住んでいたかのような思い出がたくさんできます。
Airbnbでのお部屋探しは、ホテルのネット予約とほぼ同じ要領でとても簡単。宿泊したい日程、利用人数などから検索して、条件に合ったお部屋を探すことができます。立地を重視したいときには、地図からエリアを検索することも。その際に、注意したいことをまとめました。
●「部屋のタイプ」で「まるまる貸切」にチェックを入れて検索!
「まるまる貸切」というのは、ホテルや旅館などと同じように、その部屋や家など物件自体を貸しきるタイプです。一方、「個室」や「シェアルーム」はリビングや台所、シャワーなどの共有スペースがあったり、ホステルのように相部屋だったり、そのバリエーションはじつにさまざま。
「ホテルの代わりにAirbnbを」と考えている場合は、「まるまる貸切」にチェックをいれて検索すれば安心ですよ。
●物件の説明部分は自動翻訳が正確でない部分も!
それぞれの物件の詳細な説明部分は、英語で書かれている文章を自動翻訳されただけのものなので、正確さに欠けることがありました。
たとえば「Cセンターまで徒歩2分」の記載に対して、原文の英語では「Cセンターまで2ブロック」になっており、徒歩では20分ほどかかるような距離だったことも。予約の際に重要な情報は、必ず原文もチェックしたほうがいいですね。
●ホストの評価は要チェック!初心者は“スーパーホスト”がおすすめ
ホストの評価も事前に確認しておくことをおすすめします。とくにレビューがまだついていない新しい物件などは、書いてある部屋の条件が本当に正しいのか確実な情報を得るすべがありません。
「ベッドが2つあると書いてあって友達と大人2人で予約したら、ダブルベッドがひとつだった!」…。そんなトラブルも、レビューで確認することができます。
また「スーパーホスト」という、一定基準の審査をクリアしているホストもいます。信頼性のより高いお部屋選びをしたいときには、まずスーパーホストの物件から探してみるのもいいかもしれません。今回私もこちらから選びました。
フロントもないしコンシェルジュもいない分、少々の不便はありますが、自分の住まいであるかのように滞在できる民泊。ご家族での旅行やビジネス出張にも、きっと選択肢を広げてくれると思います。