「睡眠負債」という言葉が注目されています。わずかな睡眠不足でも、積み重なると命にかかわる病気のリスクを高め、日々の生活の質を下げてしまうというもの。それほどまでに、睡眠とは1日の疲れを癒し、疲労回復に欠かせない行為なのです。
眠りづらさにはさまざまな原因がありますが、寝室のインテリアを工夫するだけで眠りやすくなることも。そこで片づけ・収納・インテリアのコーディネートの専門家である森下純子さんに、心の緊張をほぐし、リラックス効果を高め、質のいい睡眠をとれる寝室のつくり方についてお伺いしました。
寝室のインテリアは安眠効果のある優しく落ち着きのある配色で
色のイメージや心理的効果は意外と大きなものです。ブルー・グリーン系の色は、落ち着いた感じや静かな印象を与え、リラックス効果の高い色と言われています。
神経を休ませるための副交感神経が働く大事な睡眠時間。ゆったり過ごすためにも、寝室には、赤やオレンジなどの暖色系より、リラックス効果のある青や青緑などの寒色系を使うのがおすすめです。
寒色系は全体に使うのでなく、カーテンやカバーなどにポイントで使うといいでしょう。
●暖色系の赤を落ち着いたトーンで優しく使うと、リラックス効果のある空間に
暖色系は避けた方がいいと先に述べましたが、だからといって赤系の色は全部NGというわけではなく、トーンを変えるだけでもリラックス効果はあります。
トーンとは明るさと鮮やかさを組み合わせた色調のこと。赤系の色でもライトグレイッシュなどの明るめの渋いベージュ系の色を使うと、落ち着いた優しい空間がつくれます。寝室コーディネートに取り入れてみてください。
●ベッドスローやクッションで色使いにアクセントを
「ベッドスロー」とは、海外の生活で靴を履いたままベッドに横になるときにベッドカバーを汚さないために使うものです。ホテルでは、「ベッドメイク完了」という合図にもなっています。
ご家庭でも、ベッドスローをかけてあるだけで、フォーマルに整った雰囲気になります。ベッドの上で荷物整理などするのにも役に立つので、アクセントとして取り入れてみてください(※青い花柄の布がベッドスローです)。
ベッドスローに加えて、やはりアクセントになるのがクッション。何個か置いてコーディネートを楽しむのもおしゃれです。
ベッドスローやクッションを加えるだけで、寝室の印象はかなり違って見えます。なにかものたりないなと感じているなら、ぜひこの2つをベッドメイクに取り入れてみてはいかがでしょう。
●体にあった枕でリラックス
最近は枕にこだわる方も増えてきましたが、みなさんはどんな枕を使っていますか?
枕の中身の素材も、昔からある「そば殻」や「低反発ウレタン」「羽毛」「パイプ枕」などいろいろあり、どれがいいか迷いますよね。
そば殻は通気性が高いけど耐久性が低い…など、ものによって特徴があります。
最近のオーダー枕は、頭や首などが当たる場所で、高さや素材を変えてもらえるサービスもあり、2万~5万円ほどでつくれます。質のいい眠りを得るためにも、自分にあった枕選びをしてみてください。
●シーツに使われる麻とコットン。違いは?
また、枕だけでなくシーツやベッドカバーも、汗や湿気、通気性などを考えた素材を選ぶのをおすすめします。代表的な麻と綿の特徴を比較してみました。
麻(リネン)…乾きやすく抗菌性がある、ムレのない使用感、熱伝導率が高いので体の熱を奪ってくれる。
綿(コットン)…吸湿性に優れているので湿気がこもらない、肌触りがいい、丈夫なので洗濯してもヨレにくい。
洗い替えに2種類用意しておき、肌触りや使い心地を試してみるのもいいですね。
●ベッドサイドの演出で、眠りにつくまでの時間を楽しむ
寝室に入ってからすぐ眠りにつける方もいれば、しばらく本を読んだり、携帯を見たりする方も多いのではないでしょうか。ベッドサイド空間もリラックス効果をつくり出すための場所として演出してみましょう。
おしゃれなベッドサイドテーブルをひとつ置き、好きな照明スタンドを飾る。寝室のフォーカルポイント(インテリアでいちばん目がいくポイント)になり、それだけですてきな寝室になります。
寝室を心地よく整えることで、オンとオフを切り替え、快適な睡眠をとれるようにしたいですね。