災害などで、ライフラインが止まってしまったときの備えはできていますか? 非常食などをせっかく準備しているにもかかわらず、押し入れの奥に追いやったまま忘れてしまい、いざというときに使えなかったら意味はありません。「日々の暮らしのなかに自然に取り入れてこそ、いざというときに役立てることができるのです」と言うのは、「暮らしの最適化」のプロフェッショナルであるライフオーガナイザーの佐藤美香さん。今回は、もしものときにも役立つ調理方法を教えていただきました。
すべての画像を見る(全5枚)冷凍保存はポリ袋で。それだけで、もしものときに役立ちます
今回教わるのは、ストックをつくりながら非常時にも役立てられる冷凍テクです。ポイントとなるのは、ポリ袋の使い方。「非常時だけではなく、日々の食事づくりの時短にもひと役買いますよ」。なお、ポリ袋は耐熱タイプのものをご使用ください。
●週末にまとめて下ごしらえを
日々の食事の買い物は、週末にまとめ買いをしている佐藤さん。
「週末にまとめて買い物をして一気に下ごしらえし、平日に少しでもラクできるようにしています。下ごしらえしたものは、すぐに使うものは冷蔵室や野菜室に入れ、それ以外のものを冷凍庫に入れています」
冷凍庫に入れるときのポイントは、「子どもだけでも、すぐに食べることができるか」「忙しいときや疲れたときでも、さっと火をとおせば食べられるか」の2つ。このときにほんの少し工夫するだけで、もしもの備えにもなるのです。
●下ごしらえしたものは袋に入れて冷凍
「下ごしらえしたものは、100均でも手に入る高密度ポリエチレン袋に入れてから、在庫管理がしやすいように同じ保存容器に入れています」と佐藤さん。直接保存容器に入れず、袋に入れるメリットは3つあるそうです。
1.その後の調理がラクになる2.汁などが漏れて庫内を汚す心配がなく、保存容器も毎回洗わないですむ
3.もしものときにも役立てることができる
1と2の理由は、想像がつきますが、3のもしものときに役立つとワケとは? 佐藤さんがよくつくるという定番の冷凍食材を例に、その理由をご説明します。
●水をムダにしない!カセットコンロと鍋と水でできる簡単調理
写真は、パプリカ(赤・黄)とタマネギ、ピーマン、ベーコンを切ったもの。
「このパプリカセットを冷凍しておけば、災害時でも、とっても簡単にリゾットとスープがつくれるんです」
リゾット用のポリ袋には、お米、水、ピザ用チーズ、コンソメキューブを加えます。スープ用のポリ袋には、コンソメキューブ、シチューの素、水を加えます。あとは、材料の入った袋をクルクルとしぼり、先を結んで約40分湯せんにかけるだけ。
「同じ材料を使い、1つの鍋でリゾットとスープがつくれます。この調理方法は「パッククッキング(ポリ袋調理法)」というもので、災害時にガスや電気が使えなくなっても、カセットコンロと鍋と水があれば調理することができるんです。湯せんした水は繰り返し使えるので、災害時に貴重な水をムダにせず使うことができます。また、器の上に袋を広げて食べれば器を汚さずにすみ、洗い物を出すこともありません」。
「日頃からこんな調理方法がある、こうやって食べることができると知っておけば、いざというときに役立てることができます。いつもの食べ慣れたものが食べられること、温かいものが食べられることが、つらいときに元気をくれるかもしれません」。
いつもの食事づくりや下ごしらえにも、もしもの備えを意識してみてはいかがですか? 毎日食べながらストックを補充していると、普段の食事づくりが格段にラクになるだけではなく、「冷凍庫に常に非常食が入っている」という安心感を得ることができて一挙両得です。