「夫は若いときに国民年金を滞納。しかも、今月からは自営業になりました…」。下の子どもはまだ3歳というタイミングで、大きな転機を迎えているESSE読者の家計を、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに診断していただきました。最近では、老後破産なる言葉もよく耳にしますよね。将来が心配な人も、そうでない人も、一読すればマネーの知識がますます深くなりますよ。
ローンの返済と老後の資金づくりのバランスはどのように考えるべき?
相談者
及川佐智子さん(仮名) 神奈川県・37歳(パート)
夫46歳(自営業)、長男6歳、長女3歳
お悩み
夫は若いときに国民年金の保険料の滞納期間があるうえ、今月から自営業になったため、65歳からもらえる年金は数万円程度。にもかかわらず、住宅ローンは78歳まで…。老後のためには、繰り上げ返済すべき? 貯蓄で老後資金を増やすべき?
及川さんの家計収入
<収入>
夫の月収(手取り)¥400,000
妻の月収(手取り)¥40,000
児童手当¥20,000
収入合計¥460,000
<支出>
住居費¥60,000
←check1
食費¥40,000
外食費¥5,000
電気料金¥6,000
ガス料金¥7,000
水道料金¥6,000
通信費(ケータイ2台分)¥7,000/(プロバイダー)¥3,000
日用雑費¥10,000
レジャー・交際費¥5,000
子ども費(学校教育費)¥40,000/(習い事)¥5,000
クルマ費¥5,000
こづかい(夫)¥20,000/(妻)¥10,000
生命保険料(夫)¥6,000
学資保険料¥20,000
貯蓄¥100,000
←check2
児童手当貯蓄¥20,000
支出合計¥375,000
収支+¥85,000
←check3
ボーナス収入¥0
現在の貯蓄¥1,000,000
<畠中さんの診断>老後資金づくりが最優先。ローンは返済額の増額を
毎月10万円の貯蓄の多くを、住宅ローンの繰り上げ返済に回してきた及川さん。でも、このまま繰り上げ返済を続けていたら、国民年金の滞納期間が長いこともあり、老後資金がたりなくなってしまいます。今後は貯蓄を優先して、住宅ローンについては毎月の返済額を増やすことで期間短縮を図りましょう。
10万円のうち、2万円を返済額の増額に回せば、返済期間が10年短縮でき、夫68歳で完済が可能に。また、自営業になってボーナスがなくなったので、特別支出用の貯蓄も必要。4万円を特別支出用にとりおき、残り4万円を老後資金として、積立定期で確実に貯めましょう。
今後は、国民年金保険料と健康保険料の支払いが発生します。国民年金は付加年金に加入し、支払い期間を65歳まで延長して、将来の年金を増やしましょう。黒字が8万5000円あるので、健康保険料と合わせても十分まかなえますよ。
check1:住宅ローンの返済額を増やし、完済年齢を10年短縮
3年前に家を購入。2つの住宅ローンを組み、金利が高い方の200万円のローンを繰り上げ返済したものの、手元の貯蓄はわずか100万円。今後は、繰り上げ返済はせずに貯蓄を優先しましょう。住宅ローンの返済額を2万円増やして、夫68歳で完済できるように期間短縮するのがおすすめ※。家計にゆとりがあるときに、10万円単位で少しずつ繰り上げ返済できれば、65歳まで短縮も可能です
※ローン残債1740万円、金利1%で試算
check2:特別支出と老後資金用に、4万円ずつ貯める
及川家の強みは、児童手当と学資保険で子ども2人の学資800万円が手当できていること。貯蓄目的は老後資金に集中しましょう。ただし、安定して貯蓄を続けるには、特別支出の準備が不可欠。4万円は特別支出用にとりおき、4万円を老後資金として貯蓄へ。特別支出用のお金も、年末に余ったら貯蓄して資金を増やすこと。子どもが小さくて教育費がかからない今ががんばりどきです
check3:国民年金は付加年金を上乗せし、65歳まで支払いを延長して増やす
黒字8万5000円は、国民年金保険料と健康保険料の支払いに回しましょう。国民年金保険料は1人1万6540円(平成29年度)ですが、付加年金保険料400円を上乗せすると「200円×付加年金の納付月数」の年金が増額に。65歳以降、2年以上年金を受給すれば元がとれるので、ぜひ加入を。また、希望すれば、通常60歳までの納付期限を65歳まで延長し、年金を増やすことも可能。いずれも手続きは市区町村役場で