世帯普及率が72%を超えたと言われるスマートフォン(平成28年度版情報通信白書より)。私たちの生活にすっかり溶け込んでいますが、同時にスマートフォンを見すぎて視界がボヤける、などの症状を訴える「スマホ老眼」の人が急増中です。スマホ老眼はスマホ画面を近くで見続けることで、目のレンズの役割を果たす水晶体を支える毛様体筋という筋肉が疲労し、ピント調整がうまくできなくなることで起こるそう。
「メガネやコンタクトレンズの度を変えればよいというものではなく、そのまま毛様体筋を酷使すると、毛様体筋と神経でつながっている首から肩、側頭部の筋肉が収縮。その結果として、コリや痛み、頭痛などほかの症状を引き起こすことも。放っておくのは危険です」。こう警鐘を鳴らすのは眼科医の荒井宏幸先生。さらに放っておくと、もっと怖い病気になる可能性もなるのだとか。詳しくお話を伺ってみました。あわせて、目に優しいスマホの使い方もアドバイスしていただいています。
うつ病になることも!増えるスマホ病
すべての画像を見る(全2枚)スマホの使いすぎは、スマホ老眼だけでなく、頭痛、肩コリなどを引き起こすこともあります。さらに、スマホの画面が発するブルーライトは、長時間浴び続けると眼精疲労だけでなく、睡眠のリズムを乱す作用もあるといわれます。またスマホ依存が進むと、そこからうつ病などの精神疾患につながる可能性もあるので、使いすぎには注意しましょう。
目に優しい正しいスマホの使い方
毎日長時間、スマホ画面を見ている人は、スマホ老眼になるリスクが高くなります。でも、ちょっとした工夫で目の負担は減らせると荒井先生。目に優しい使い方を教えてもらいました。
●メールを打つときは頭の中で文章をつくってから
メールを打つときに、文章を考えながらスマホを操作すると、長く画面を見続けることに。ある程度頭の中で文章をつくってから打つようにすれば、凝視する時間を短縮できます
●検索中やスクロール中は画面を見ない
画面を見る必要のないときは、極力視線を外して目を休ませて。ネット検索中のページが開くまでの間や、スクロールして画面が動いている間は目を離しましょう
●スマホを使うときは1時間に5分の割合で休憩を
スマホ操作による眼精疲労を防ぐには、目を休ませるのがいちばん。1時間に5分は画面から目を離しましょう。このとき、目を閉じると目の表面の乾燥も防ぐことができます
●スマホと目との距離は30~40cmに
混み合った電車の中など、スマホの画面に顔が近づいた状況では、目の調節機能に大きな負担がかかります。画面から30~40cmは離して見るようにしましょう
●スマホを見るときは文庫本を読む角度で
スマホを見る正しい姿勢は、胸の下あたりで持ち、首は曲げずに真っすぐのまま、目線だけを少し下に向けて。これは、文庫本を読むときにちょうどよいと感じる角度と同じです
●画面の輝度の設定は6~7割に
画面の輝度(明るさ)が高すぎると、周囲との明暗の差がありすぎて目が疲れます。6~7割程度の落ち着いた輝度がおすすめ。きれいさよりも目への優しさを優先して
●文字の大きさはズームする
表示された文字が見づらく感じたら、目の疲労軽減のため、すかさずズームして、文字を大きく読みやすくしましょう。スマホならではの便利な機能、使わない手はありません
やってはいけない3大NG習慣
「電車スマホ」「歩きスマホ」「寝転がってスマホ」は3大NG習慣です!
揺れている電車の中で画面を見続ける「電車スマホ」は、止まった状態で見るより目が疲れやすいもの。「歩きスマホ」も手元が少なからずブレるので同様です。ましてやほかの人にぶつかるなど、事故にもつながりかねないのでやめましょう。不自然な姿勢で見がちな「寝転がってスマホ」も、片目だけに負担がかかりやすいのでNG。いずれも、ついやりがちな習慣なので気をつけて!
家族がしていたら、注意してあげましょう。