暮らしを心地よく、効率よく回すノウハウを提案する、整えアドバイザーの阪口ゆうこさん。最小のアイテムで、ムダなく暮らしたい!というミニマリストでもありますが、ものによっては、あえて多めにもつほうが生活が快適になると感じています。また、処分したあとでかえって家事が不便になったことに気づき、あらためて買い直したものもあるとか。暮らしを豊かにするために、阪口さんがミニマルよりも優先した3つのものとは?

心地よく暮らすために、あえてもつべき3つのもの

●あえてもつもの(1)複数のハサミ

あえてもつもの(1)複数のハサミ
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 一時期、ハサミは一家にひとつだけで暮らしていました。しかし、わが家では、ハサミって、驚くほど利用頻度が高いんです。ちょっとしたものの封をあけるとき、切り離して返信するお便りがあるときなどなど…。

 そんなときに「見つからない!」なんてことになったら、パニック必至。一度は処分したハサミですが、今ではリビング、書斎、キッチンの3か所においてあります。いろいろ試してみて、これがわが家の適正量として落ち着きました。

●あえてもつもの(2)複数のゴミ箱

あえてもつもの(2)複数のゴミ箱

 取りつかれていたようにハイになって片づけをしていた頃、ゴミ箱は、1階のリビングにおかれた可燃ゴミ用と不燃ゴミ用の2つだけでした。各部屋にゴミ箱なんてムダ!1か所だけと決めておけばゴミ捨てのときもラクだよね…と。

 もちろん、その考えも正しいのでしょう。ただ、わが家の場合は、その後、こんなことになりました。

 2階の子ども部屋には紙くずなどのゴミがあふれ、浴室では、使い終わったシャンプーのつめ替えパックのゴミがグッタリと横たわり、私の書斎も「あとでまとめて捨てよう」のゴミだらけ。その場で作業をして、1階のゴミ箱まで捨てに行くという行為は、わが家の家族には無理だったんです。

 今では、子ども部屋、洗面所、書斎にそれぞれゴミ箱があります。

●あえてもつもの(3)水きりカゴ

あえてもつもの(3)水きりカゴ

 水きりカゴは、ミニマリストを意識する前には使っていたのですが、当時はうまく管理ができず、汚れでヌタヌタになってしまった経験あり。私には管理しきれないと、撤去。代わりに、ダスターの上に洗いあがった食器をのせるというやり方を採用していました。

 このやり方も、衛生的だしラクちんで、気に入っていました。食器や調理器具も最小限なのでダスター1枚で十分。でも、片づけができなかった「汚部屋時代」を脱し、キッチンがきれいになると、だんだん料理が楽しいと思うように。すると、料理スペースをもっと確保するために、作業台の上になにも置かずにすむようにしたくなりました。

 そこで、シンクに渡せて、使わないときはくるくる丸めておける折り畳み式の水きりトレーを購入しました。これも、ものが片づくシステムづくりが確立して、今の自分なら水きりカゴを管理できると思えるようになったためです。

ミニマリズムよりも暮らしで大事なこと

 すっきり暮らすためには、ものはワンジャンルワンアイテム。同じ使い道のものはひとつだけあればいいという風にガチガチに考えてしまうと、どこかで無理が生じます。効率よくやろう、スムーズにやろう、もっと深くやってみたい!と思う事柄に関しては、アイテムを増やした方がいいこともあります。

 人生を華やかにして、彩りを与えてくれるなら、それはすっきり暮らすことよりもずっと重要。ミニマルにしたら幸せが勝手に向こうからやってくる…。そうじゃないと思います。

 ミニマリズムは生き方の選択肢のひとつというだけ。それにがんじがらめになってしまうのは本末転倒だと思うのです。

【阪口ゆうこさん】

整えアドバイザー。夫、小学生の長男、長女の4人暮らし。自宅セミナーで収納や時短家事など暮らしをスムーズに回す工夫をレクチャーする。「

HOME by REFRESHERS

」著書『

家族がいちばん。だからきちんと選べる。きちんと使える。ゆるミニマルのススメ

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