春は植物を育てたくなる時期。初心者でも失敗なく栽培したいなら、苗から育てるハーブにチャレンジしてみませんか?
「苗を買ってきたら、ポットから出し、根を軽くほぐしてから植えつけ、薄めた液体肥料を週に一度与えましょう。乾燥気味の状態を好むので、水やりは1日おき程度でも十分です。定期的に風を通すようにすれば、室内でも栽培できます」と教えてくれたのは、ガーデニングクリエイターのたなかやすこさん。
初心者でも育てやすく便利なハーブ
ここでは、春から育て始めるのにピッタリな6種や、気軽に楽しむためのアイデアを教えてもらいました。
●チャイブ
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多年草。小ネギのような風味のハーブ。葉は育ちすぎるとかたくなるので、写真のようになったら根元から2~3cm残して収穫を。3週間ほどでまた元のように葉が伸びます。
冬に休眠する性質があり、その間は葉を刈り取って「マルチング」(※土の表面を紙やビニールでおおうこと)をすれば、水も肥料も不要。
●バジル
1年草。気温が高い方がよく育ちます。7月ぐらいに葉と葉の間に出た新芽をこまめに摘むように。葉はかたくなる前にこまめに収穫。
花が咲くと葉がかたくなるので、花芽はまめに摘むこと。
●タイム
多年草。春に植えつければ、5~6月に開花。乾燥した環境を好みます。梅雨どきは特に葉が蒸れて枯れやすくなるので、葉をすくようにカットして収穫してください。
●イタリアンパセリ
2年草。比較的日当たりの悪い場所でも育つので、草丈の高いものと寄せ植えすれば、マルチング代わりに。茎は束ねて乾燥させるとブーケガルニに使えます。
●ジャーマンカモミール
苗が出回る春に植えつけると、6月頃に開花。1年草なので枯れたら引き抜きましょう。発汗作用があるので、風邪のときは花を摘んでお湯を注ぎ、はちみつなどを加えて飲む方法も。
●ローズマリー
冬でも苗が出回る多年草。ほかの植物の成育を妨げるほど強いので、寄せ植えには向きませんが、近くに置くだけでモンシロチョウの襲来を防ぐ効果が。肉料理やフライドポテトと好相性。
いろんなものをガーデニングの容器にしよう
野菜を育てるための容器は専用のプランターや鉢を使うのが一般的ですが、家にあるものでも十分栽培できます。見た目のかわいいものを選んで、小さなガーデニングスペースをおしゃれに演出しましょう。
容器に使えるのは、耐水性のある素材でできているもの。底には水はけ用の穴をあけることも大事です。4つの例を参考にして、自分流にアレンジしてみてください。
・自然素材のバスケット
ヤシや竹などの自然素材は水に強く、野菜栽培の容器に使えます。ワイルドストロベリーやラディッシュ、パセリなどを植えてみて。背が高く伸びる野菜はバランスが悪くなるので不向きです。
カゴの目の粗いものは、土が流れ出るのを防ぐカバーを。不織布などを敷いて数か所穴をあけてから土を入れます。
・あき缶
小さなあき缶でも野菜は栽培できます。おすすめは葉もの野菜。ある程度の大きさに育った株を間引いたときは、おしゃれなあき缶に移植してみて。容器の大きさに合わせてコンパクトに育ちます。
底に水はけ用の穴を数か所あけることが大事。かたい素材の場合は、五寸クギをハンマーで打ちつけて穴をあけます。
・ワイヤバスケット
ワイヤバスケットは風通し、日当たりのよい場所につるしやすいのが特徴で、乾燥を好むハーブの寄せ植えに最適。保水性のあるヤマゴケなどを内側に敷けば、ピーマンなどの果菜類も育てられます。
網目から土が出ないようにカバーが必要。カバーには、見栄えのよいヤシ繊維やヤマゴケなどを。
・コランダー
調理道具のコランダーは食卓に置いても違和感のない容器。ミックスレタス、ルッコラ、ホウレンソウなどを育て、収穫時季には食卓に運び、その場でカットしながら食べることができます。
熱伝導性のよい金属は気温の影響を受けやすいので、内側に緩衝パッキンなどを敷き、穴を数か所あけてから土を入れましょう。
よくあるお悩みに答えます!おうち菜園Q&A
最後に、ガーデニングでよくあるお悩みを集めました。ぜひ、たなかさんの答えを参考にしてみてください。
Q:種をまいて何日もたつのに全然発芽しません。どうしてでしょうか?
A:種が発芽するのには適した気温があります。種の植え方も発芽に影響します。
種には発芽に適した気温があり、その気温より寒くても暑くても発芽しにくくなります。栽培スペースに温度計を置き、チェックしてもいいですね。同じ野菜の種類でも、品種によって「秋まき向き」「春まき向き」と分かれているものもあるので注意しましょう。
また、種をまいたあとにかけた土が乾いた状態でも発芽しにくいものです。種のなかでもミックスレタスのように光を好むもの(好光性)は、種の上にかける土を薄くする必要があります。
Q:芽が弱々しい感じに!なにが原因ですか?
A:日光不足や水のやりすぎが考えられます。過保護に育てるのはNGです。
芽が細長く伸びてしまうことを「徒長(とちょう)」といいます。徒長してしまった芽は育ちが悪いので、もう一度始めからやり直しましょう。
徒長させないためには、発芽したらすぐに日当たりのよいところへ移動することが大事です。種まき後は毎日チェックしてください。
また水のやりすぎも徒長の原因のひとつ。水やりは土が乾いてから行うのが基本です。土に指を入れてみて、内側まで乾いていたら水を与えるようにしましょう。
Q:わが家のベランダは北向きです。野菜が育てられるかどうか心配です
A:日当たりがあまりよくない場所でも比較的よく育つ野菜もあります。ミツバ、レタスなどは、あまり日の当たらない環境でも栽培できます。
もちろん、できるだけ日が当たるように台にのせる、物干しザオにつるすなど工夫をしましょう。
同じベランダでも日当たりのよい場所は季節によって変わりますので、注意深く観察してください。南向きのベランダでもフェンスが壁の場合、壁の陰になる部分は日が当たらず通気性が悪いので、北向きベランダと同じような工夫をしなければなりません。
また、屋根のないベランダも注意が必要。屋根がないと、雨が降ったときに液体肥料が流れ出てしまう、水のはねかえりで株元から病気にかかりやすい、などの問題があります。
防御策として、株元に直接水がかからないようにマルチングを施し、状況によっては傘で雨よけを。雨のあとは、流れてしまった肥料を補充してやることも大事です。