「できることだけやる」「やり方を見直して効率化する」…。家事の負担を軽くするノウハウを紹介した本が、今、売れています。キッチンを制する者は時短家事を制す。女性が長い時間を過ごすことから、キッチンにまつわる家事のテクニックには、とくに注目が。キッチン使いの達人をテレビや雑誌で見ない日はないほどです。

 料理研究家の門倉多仁亜さんも、そんな達人のひとり。ドイツで暮らしてきた経験をもとに、ドイツ流のシンプルで合理的な考え方を自分なりに習慣化。日々の家事を合理化し、そのうえ楽しみながら行っています。「いつもきれいで使いやすいキッチンは、日々の掃除や手入れがあってこそ。上手に手入れすれば、長く、美しく使い続けられます」と門倉さん。今回は、ドイツ流キッチンの掃除と手入れの習慣について教えていただきました。

ドイツ流!キッチンの掃除&手入れの習慣

●使ったらすぐ、さっと掃除し、水滴までふき取ってピカピカに

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 キッチンを使ったらすぐに掃除をしているという門倉多仁亜さん。ドイツでは“水滴をふき取るところまでが掃除”だそう。シンクはスポンジで汚れを落とし、使い終わった台ふきんで水気をふき取ります。

「いつもきれいにしていれば、シンク用のスポンジを食器洗い用と分けなくていいのでラクです。スポンジは大きさを半分にカットして使うと手になじんで使いやすいです」。スポンジひとつとっても、合理的な考え方を徹底。手間を後回しにしないことで、省けるものがあるのです。

●クロスが3枚あればいつもきれいなキッチンに

 濡らした台ふきん、麻のキッチンクロス、ぞうきんの3枚で、門倉さんはキッチンを常にきれいで清潔な状態に。目についた汚れはすぐにふき取れば、汚れがたまらず、大掃除をする面倒もありません。

クロスが3枚あればいつもきれいなキッチンに

 濡らした台ふきんで、ワークトップの汚れや、シンクの水気をすぐにふき取ります。

食器や手をふくための麻のキッチンクロス

 食器や手をふくための麻のキッチンクロスは、端をキッチンの棚にはさんでかけておきます。

床が汚れたらぞうきん

 床が汚れたらぞうきんでさっとふいてしまう習慣に。すぐにできるように、シンク下に取りつけたタオルかけにかけています。

●年に一度、シルバーみがきをしておもてなしの準備

年に一度、クリスマス前にシルバーみがき

 来客時などに使うシルバーのカトラリー。ときどき使っていればそれほど汚れませんが、年に一度、クリスマス前にすべて出してみがきます。「子ども時代、兄弟でみがいたことを思い出します」。

 汚れがひどいときは、お母さまのドイツ土産のつけるタイプのクリーナーを使っているそう。物を大事に使い続けることは、ものを増やさないことにもつながります。暮らしをできるだけシンプルにするための知恵。

●三角コーナーは置かず、バット+新聞紙でやりくり

 シンクに三角コーナーを置くと、じつはかえって掃除が面倒に。そこで門倉さんは、バットに新聞紙を敷いて調理中のゴミをため、終わったら新聞紙ごと丸めてゴミ箱へ入れることに。

「新聞紙はテレビを観ながら1枚ずつにしてたたみ、キッチンの背面にあるカウンターの引き出しに入れています」。ながら時間を有効利用すれば、「ひと手間」が苦になることはありません。

●ときおり、ふきんは鍋で煮沸消毒を

ふきんは煮沸消毒

 時間がある日は、その日に使ったふきんを煮沸消毒。鍋にふきんと水、洗濯用洗剤を入れて火にかけ、弱火で30分ほど煮ます。熱湯に注意して水ですすぎ、干せばOK。「時間がないときは漂白剤を使ったり、洗濯機で洗うこともあります」。

●気に入った食器は直して長く使う

気に入った食器は直して長く使う

 気に入って集めたアンティークのティーカップやお皿。しまい込むのではなく、実際にも使うようにしています。

「もし欠けてしまったときは、金継ぎをして直してもらいます。カップの柄に合わせて色を変えた漆などを使って、枝や葉など模様の一部のような柄を入れていただいたり。すてきによみがえって満足です」。割れや欠けといった”キズ”を”味”に変えて、大好きなものを末永く愛用しています。