丁寧でいて、でも気負わない。はたから見るとおしゃれなのに、じつはがんばっていない。7分目くらいの”だいたい”の按配で、”おおまかに”暮らしを回している雑貨店「hal」のオーナー・後藤由紀子さんが今、女性から支持を集めています。実際に書店でも、後藤さんの書籍コーナーがつくられているほど。
いろいろなものに手を広げるのではなく、ライフスタイルをシンプルに。自分の手元にある、本当に大切だと感じているものだけで満足するコンパクトな暮らし。後藤さんの暮らしを参考にして、落ち着きのある毎日を過ごしたいと考える女性が増えているのです。
「器とのつき合いかたも大切ですよ」と後藤さん。自分の愛用品を大切に、賢く使い回せば、シンプルで満足度の高い暮らしを実現できるといいます。「もの好き」だからこそ熟知する、後藤さん流の器との向き合い方を伺ってみました。今回は、後藤さんのお気に入り、高台のない汁椀とグラスを使い回すアイデアについて紹介します。
小さな暮らしに役立つ!高台のない汁椀の使い回しアイデア
ひとつの器を何とおりにも使えば、暮らしはもっとシンプルになるもの。揃える食器も減るうえ、収納スペースにも余裕が出てきます。後藤さんの愛用品の汁椀の使い方を教えてもらいました。
すべての画像を見る(全6枚)輪島塗の汁椀は、漆の色と質感が特徴的。「高台(器の脚)がもつ緊張感とはまた違い、カジュアルに使えて用途が広がります」。食器棚に大切にとっておくのではなく、じゃぶじゃぶ洗えてデイリーに使えるものを選ぶとよいでしょう。後藤さんが愛用するのは、直径12×高さ6㎝ほどのサイズのもの。
・持ちやすいから鍋のとんすいに最適
鍋用の取り鉢、とんすいはあえてもたず、後藤さんはこれで代用。「高台がないので手にすっぽりと収まりやすく、安定感が抜群!片手でも安心して持てます」
・野菜をざっくり盛ってサラダボウルに
「漆の鮮やかな赤に野菜のグリーンが映えて、食欲をそそります」。上品なたたずまいは、食卓をパッと華やかにしてくれる効果もあります
食器だけでなく、花器としても。グラスの使い回し術
「美しい形と究極の薄さで、なにを注いでもおいしそうに、すてきに見えるんです」と後藤さんお気に入りのグラス。直径7×高さ13.5㎝ほどのサイズで、徹底的にシンプルなデザインが特徴です。使い勝手がいいので、このグラスでドリンクを飲むときは気分が上がるそう。
・ビールをとびきりおいしく味わいたいなら
「ビールの泡が細かくなるので、ぜいたくな気分に浸りたいときに使っています」。飲み口のガラスが薄いので、飲み物の味が繊細に感じられ、よりおいしく思えるそう
・フラワーベースとして花を飾っても
ムダのないシンプルな形は、花器にしてもそのよさが生きてきます。「主張しすぎず、なにげない草花を際立たせてくれますね」。ナチュラルな家の雰囲気にぴったり
【後藤由紀子】
静岡県沼津市の雑貨店
『hal』オーナー。暮らしぶりや料理、ファッションが雑誌などで紹介され人気を集める。著書に『
お母さん、旅はじめました』(光文社刊)『
狭くても、料理が楽しい 台所のつくり方』(日本文芸社刊)『
毎日のことだから。7分目くらいがちょうどいい』(PHP研究所刊)などがある。