新型コロナウイルスの影響で働き方が大きく変わろうとしている今。
家計を安定させるため自分にできる仕事を見つけたい、共働きで収入を増やして将来に備えたい…そう考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、そう思ってもコロナ禍で活動するのは不安ですよね。まずはご自身の「得意」を見直し、仕事するにあたって環境を整えてはいかがでしょうか。

今回は、ブランクがあってお仕事復帰を考えたときにまずした方がいいことや、家事・育児と仕事の両立など、皆が疑問や不安に思っていることを、仕事探しや両立の専門家に聞いてみました。
教えてくれたのは、株式会社リクルートiction!事務局の深尾奈々子さん、キャリアカウンセラーの天田有美さんです。

家計簿を見ながらため息

Q1:出産してから家事と育児に専念しています。ママとしての経験は仕事をする上で役に立つでしょうか?

A:役に立ちます! ママならではのコミュニケーション力、マルチタスク力、マネジメント力、おもてなし力などは、仕事をする上で欠かせない要素に。詳しく説明します。(天田さん)

●ママのコミュニケーション能力を「若(じゃく)のチカラ」と呼んでいます

○○小学校

私はキャリアカウンセラーとして様々な人たちを対象にセミナーを開催していますが、いつでも一番盛り上がるのが、ママたちを対象としたセミナーなんです。

講義が始まる前からもう皆さん、近くの席の人たちとおしゃべりして盛り上がっている(笑)。これは、相手の背景を察しながらうまく自己開示し、コミュニケーションを円滑にしようと努力できるママならではの特性です。

これを私たちは「若(じゃく)のチカラ」と呼んでいます。

多様な年齢に対応しながら、円滑にコミュニケーションをとれる、重要な能力です。(天田さん)

●複数の家事を同時進行するマルチタスク能力は、「熟(じゅく)のチカラ」

子育ての様子

加えてママ業をしている人に備わっているのが、「熟(じゅく)のチカラ」と呼ばれるもの。

これは、子どもの相手をしながら洗濯機を回しつつ料理をする、など複数の家事を同時進行するマルチタスク力、自分で手が回らないことを周りのだれかにお願いしたりできるマネジメント力、赤ちゃんの泣き方で要望を類推し、応えてあげるおもてなし力などを総括してそう呼んでいます。

育児に専念している間も、立派にスキルを身に着けていると言えることが、わかっていただけるのではないでしょうか。(天田さん)

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Q2:子どもが小さいうちは、育児と仕事の両立が心配です…。

A:夫や親を上手に頼って。公的な制度も確認しておく。仕事は常に「見える化」しておくことが大切!(天田さん)

●頼ってもいいんです!普段から周囲とまめなコミュニケーションを

今日のお迎え当番はパパね!

子どもの急な体調不良は予測できるものではないですが、私は上手に人を頼ることで乗りきっています。パパと連携して対応したり、実家の母に頼ったり…。

普段からまめにコミュニケーションをとって、ママ友同士で協力しあったりもしています。

予測はできないけれど、子どもの体調は日ごろからよく観察して、周囲への早めの連絡なども心掛けています。

「いま熱はないんですけどちょっと息子が鼻水をたらしているので、明日の朝またご連絡します」といった具合ですね。(天田さん)

●ファミサポは元気なときにも使ってみて。仕事はだれが見てもわかるようにしておく

私も最初は近くの保育園にあきがなくて、電車で連れていったりと、いろいろと大変でしたね…。
子どもが体調を崩したときには、自治体の提供するファミリーサポート制度を利用している友達も多かったです。
急に具合が悪くなったときに初めて使うのではなく、普段元気なときに、息抜きもかねて預けられるところを確保しておくのはおすすめです。

仕事に関しては、前倒しできるものはできる限り早めに片づけたり、急に休むことになった場合でもほかのだれにも私の仕事がわかるように「見える化」しておいたりといった方法で乗りきりました。(深尾さん)

Q3:どんなお仕事が私に向いているのか、見つけるヒントがほしいです。

A:仕事復帰を考えたときに、最初に自分を見つめる時間をつくりましょう。自分がなにをやりたいのか、自分の強みはなにかを考える時間をたっぷりとって。そして働くうえでなにを最優先にするのかを決めましょう。(天田さん)

●自分の中での優先順位を決めると、目指す仕事内容や働き方が明確になる

自分の性格や得意不得意、過去の経験などを分析して、自分の強みはなんなのかを考えてみましょう。
私はなんの強みもない! なんて思っている人でも、前職の経験や、日常生活で身についた力をひとつずつ棚卸ししていくと、きっと強みが見つかります。

そこが見つかったら、いよいよ仕事の条件です。
まずは、自分の中での優先順位を決めましょう! 働くうえでなにを最優先にするのかをまず決めます。

家族との時間を大切にしたいから時短勤務を最優先にするのか、確実に稼ぎを得て家計のたしにすることを求めるか、自分の好きなことを追求するのか。

すべての望みをかなえられる理想の仕事はありません。どれを最優先にし、ほかの条件はどこを重視するのか考えていくと、だんだん目指す仕事内容や働き方が明確になってくるはずです。(天田さん)

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●好きだと思えることをベースに考えて。勉強だってしやすい!

PTAでみんなで資料づくりをしていた

自分に合った仕事を見つけるには、自分がなにをやりたいのかを冷静に考える必要があります。

なかなかイメージできない場合は、興味のあること、好きだと思えることをベースに考えていくことをおすすめします。

すぐに働き始めるのでなくても、好きなことであれば勉強を始めるのも取り掛かりやすいですからね。

じっくり考えることはとても大切ですが、考えすぎて煮詰まってしまうようなら、まずなにか始めてみるのも手です。

たとえば週2回、時間的にできそうな仕事から始めてみる。いざ働き始めると、もっとこうしたい、次はこう工夫しようとか、いろいろ欲が出てくるもの。

そこから次の行動につなげていくのもありですよね。そうして仕事を広げていくうちに、アシスタント的な業務からフルで任されるようになったり、あるいは取引先から声をかけられたりといった、いわゆるヘッドハンティングされていった人もいます。

最初から、バリバリ頑張るぞ! とか完璧を目指そう! なんて張りきると疲れてしまいます。

今は働き方の選択肢も広がっているので、可能性を見据えて、まずは気負わずに考えてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、私たちが主催しているセミナーでは、リクルートが社会貢献活動の一つとして開発した「WORK FIT」というプログラムを提供しています。

リクルートが長きにわたって培ってきたさまざまな知見が詰まっているのですが、その中でご紹介しているのが、ご自身の経験を振り返って強みを選び、○をつけていただくワークシート。ぜひ、強みを見つけるヒントにしてくださいね。(深尾さん)

自分の強みを考えるヒントに!
リクルート「ママのためのお仕事探し応援セミナー」ワークシート

◆対人力
親しみやすさ/気配り・ホスピタリティ/素直さ/誠実さ/真面目さ/約束を守る/人への興味/働きかけ力(巻き込み力)/協調性/チームプレイ力/しつけ・指導・育成力/わかりやすく伝える力/傾聴力/理解力/人前で話す力/調整・交渉力/相手の意見や思いを汲み取る力/自主性を尊重しながらも見守り効果につなげる力

◆対自己力
ストレス耐性/主体性(自分で考え行動できる力)/挑戦心・チャレンジ精神/改善・成長意欲/前向き志向/すべてのことから学ぶ姿勢/度胸・本番に強い/自分で自分を律する力・感情をコントロールする力/タフさ(精神力)/使命感・責任感/目標志向性・達成意欲/パッション(情熱)/探究心/どんな仕事にもおもしろみを見つける好奇心/変化対応力・柔軟性

◆対議題力
論理的思考力/物事の本質を突き止める力/課題発見力/企画力/計画力/想像力/提案力/広い視点でとらえる力/決められたことをやり抜く力/忍耐力/継続力/粘り強さ/実行力/活動意欲/集中力/マルチタスク処理力/実務処理能力(正確性 早さ PCスキル)/文書作成力/計算能力(家計簿、お金のやりくり)/器用さ/体力

●どんな世の中になっても、子どもにとってかっこいいママでいたい

2020年は新型コロナウイルスの影響で、共働きすることについて、また働く時間や場所、これからの働き方について考えてみた方が増えたと思います。

「家事や育児に費やした時間もキャリアになる」という今回のお話に勇気づけられた方は、ぜひご自身の「得意」について掘り下げてみてくださいね。

最後に、仕事探しのプロであり、ご自身も働くママである深尾さんと天田さんの言葉をご紹介します。

「娘が高校生になった今では、急病などの心配はあまりなくなりましたが、今後も、子どもや家族の都合に合わせたり、あるいは私自身の興味の向き方次第で、働き方を柔軟に変えていく可能性もあると思っています」(深尾さん)

「子どもたちが大きくなる頃って、今からでは想像もつかないような社会になっている可能性もありますよね。どんな世の中になっても、子どもの相談にのったり、『ママかっこいい!』って言ってもらえるような、広い視野を持つ人間でありたいと思っています」(天田さん)

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